絵画史料に見る江戸の洋楽事始

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 日本の教育や音楽隊などに本格的に西洋の音楽が導入されたのは、明治時代以降と言われていますが、江戸時代にも長崎出島を通じて洋楽はもたらされており、オランダ人と交流するわずかな機会を通じて、日本人もその調べを耳にすることができました。そのような状況の中で、津山藩の洋学者宇田川榕菴は、日本で初めて学術的に西洋音楽を研究し、「西洋楽律稿」などの稿本を残しました。
 本展では、出島への伝来から、ペリー来航、開国に至るまでの江戸時代の西洋音楽受容の歴史と榕菴の研究について、版画や錦絵、榕菴の直筆資料を通じてご紹介します。(文:津山洋学資料館HPより)(2017年10月17日撮影)

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                         絵画史料に見る江戸の洋楽事始展示の様子

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西洋と日本の音律を比較 〔西洋楽律稿〕宇田川榕菴著 江戸時代後期

 宇田川榕菴の書いた音楽研究の原稿。6枚の原稿ですが、表紙や表題がなく、順序も不明です。西洋音楽の音名や四声部(ソプラノ・アルト・テノール・バス)と邦楽三声(甲・中・乙、半声・正声、倍声、全律・半律・少半律)の対照、音律の比較などについて書かれています。

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榕菴が写したオランダの軍人図 / 和蘭王国軍装図譜 / 宇田川榕菴画 江戸時代後期

 1823年にオランダで刊行されたテウプケン著『オランダ軍隊関係者のための軍服・武器・設備等の解説書』の図を榕菴が写したもの。図16は楽手、図17は鼓手長、図18は太鼓、ラッパ、笛を持つ兵士です。

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(写真向かって左) 
榕菴が描いたアコーディオン〔アコーディオン図〕/ (宇田川榕菴蔵張込帖)/ 宇田川榕菴画 江戸時代後期
 榕菴が収集、模写した資料を一冊に貼り付けて秘蔵していたもので、98種類が貼り付けられています。実物を見たのか、洋書の挿絵から写したのかは不明ですが、アコーディオンの図もあります。

(写真向かって右)
榕菴が描いた楽器の図 / 宇田川榕菴所図(明清楽器図) / 宇田川榕菴画 江戸時代後期
 七絃琴や清楽で用いる楽器(洞簫・八角琵琶・月琴など)を榕菴が描いたもの。七絃琴の横には「臨模干高田直舎緑舫生(榕菴印)」とあります。緑舫は榕菴の号で、1842(天保13)年に高田の津山藩邸で模写したことが分かります。

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清楽と西洋音楽の研究書
「清楽考」「和蘭邦訳洋楽入門」/ 宇田川榕菴著 江戸時代後期
 清楽と、西洋音楽についての研究稿本(表題がないため『和蘭邦訳洋楽入門』と仮称)。もとは2つの別の本でしたが、のちに1冊にまとめられました。榕菴の西洋音楽に関する訳稿の中でも、最もまとまった内容の1つといわれています。(文:説明より)

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久里浜へ上陸するペリー一行
 北亜墨利加蒸気船嘉永六年渡来図(きたあめりかじょうきせんかえい6ねんとらいず) 河野越智画 1853(嘉永6)年

久里浜の応接所へ上陸するペリーの図。アメリカ国旗に続いて太鼓や笛を演奏する鼓笛隊がいます。拳銃を担いだ兵士の列のうしろに、大統領親書と全権委任状を納めた箱を持つ少年、そして一際大きくペリーが描かれています。

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津山洋学資料館前庭の風景

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写真:津山洋学資料館・上廣歴史文化フォーラム(写真提供:津山洋学資料館)

10月14日(土)午後1時30分から、津山洋学資料館・上廣歴史文化フォーラム「生誕160周年記念 明治屋創業者 磯野計とその時代‐ヨーロッパの経営思想と食文化へのあこがれ‐」が開催されました。
 「明治屋創業者 磯野計とその時代‐ヨーロッパの経営思想 と食文化へのあこがれ‐」のテーマで、東洋大学教授の岩下哲典先生、高知工科大学准教授の生島淳先生、そして当館元館長の下山純正先生が講演されました。その後3人の先生によるシンポジウムを行い、磯野計の人物像に迫りました。参加された方々は熱心に聞き入っていました。
 磯野計は、1858年に津山城下に生まれ、上京して箕作秋坪や箕作麟祥に学びました。東京大学卒業後、三菱会社の給費留学生としてイギリスへ渡り商業実務を研修。明治屋を創業して輸入業を行いました。
(文:津山洋学資料館 Facebookより)