お竹明神『山西の民話』
お竹明神
私の家の近くの藪の中に小さな祠(ほこら)があって、水鉢や燈籠がそなわっていた。
昔みんながお竹大明神といって、女の人が主に崇拝していたらしい。面白いことに、からす貝の大きいのを競争のようにしてお供え物を入れて供えてあった。また時には赤いべべを着せた人形が供えてあったので、確かに女の神様だったと思う。
祖母の話では、旧の八月十五日、月夜の晩が夏祭りで、行燈や提灯をぶら下げて一晩中踊り狂ったもんだという。そのときの歌に「お竹さん、ぼんぼの毛江戸までとどくヨイショ、江戸の殿様およろこび、ヨイショ、ごほうびたくさんくだされた、ヨイショ、そりゃあ、ほんまによかったなー、ヨイショ。お竹さん、死んで三年たってから、明神様にまつられて、ヨイショ、ごりやくたくさんくだされる。ヨイショ」と、ひなびたふしの無いままの歌を歌っていたと祖母が話してくれた。
そのお竹大明神のいわれを紹介する。