オランダ正月!?洋学資料館で観る正月料理

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日本の「和食」が2013年にユネスコの無形文化遺産に登録されるなど日本の食文化が国際的なブームになっているのをマスメディアで多々見かける今日この頃ですが、なんと出島のオランダ正月料理のポスターを津山洋学資料館で見つけました。津山に縁の深いオランダの正月料理はこんな料理だったのだと思い、津山のみなさんにも知ってもらおうと、長崎市広報広聴課にお問い合わせをし、ポスターならOKとのことで許可を頂きましたのでご紹介してみますね。

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長崎出島のオランダ商館では、太陽暦(西暦)の1月1日に盛大な祝宴が催されました。日本からは通詞(通訳)や奉行所の役人らが招かれましたが、オランダ 料理にはほとんど手をつけなかった、とオランダ人の日記に記されています。オランダ料理は薬として諸病に効能があるとされ、出島の門外に待たせた家臣に持ち帰らせたといいます。

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蘭学者森島中良が1787年(天明7)に刊行した『紅毛雑話』のオランダ語の料理名から、当時の料理を再現したものです。「ラーグー①」は、鶏の挽肉とシ イタケ、ネギをスープで煮込んだもの。「ロストルヒス②」は、鯛の塩焼き。「スペナーン③」は、ホウレンソウのバター炒めに、茹で卵を添えたもの。「スー トアップル④」は、ミカンの砂糖煮(ここでは山梨を使っている)「フラートハルコ⑤」は、豚の腿の丸焼き。「パスティソップ⑥」は、鶏の挽肉とシイタケ、 氷コンニャク(凍みコンニャク)を入れ、卵を溶いて散らしたスープ。「ケレヒトソップ⑦」は、伊勢海老のスープ。「タルタ⑧」は、野菜のパイ。「プラート ルエントホーゲル⑨」は、鴨を丸ごと煮たもの。「ハルトペースト⑩」は、鹿の腿の丸焼きに、辛子と酢をかけたもの。「ヲぺリィ⑪」は、型抜きクッキー。
制作=繁浦昭輔、撮影=松岡富士雄。市民グラフ「ながさき」1991年NO.3(長崎市刊)より。

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また、早稲田大学図書館には、日本初の太陽暦での元旦の祝宴「オランダ正月」が催された市川岳山画 芝蘭堂新元会図(しらんどうしんげんかいず)があります。1794年(寛政6)の閏(うるう)11月11日(西暦1795年の1月1日)に、大槻玄沢の私塾、芝蘭堂に江戸の蘭学者たちが集まって新元会(新年会)を祝いました。この「オランダ正月」といわれる日本初の太陽暦での元旦の祝宴の様子が描かれています。図に寄せられている漢詩や漢文から、描かれた29人の蘭学者のなかに、大槻玄沢や桂川甫周、森島中良などのほか、宇田川玄随がいることがわかります。(早稲田大学図書館でご覧ください。)(文:津山洋学資料館説明より)