清瀧寺Q&A

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住職にお尋ねします。仏教・真言宗Q&A

Q 空海は弘法大師と呼ばれています。ほかに大師と呼ばれる高僧はどのくらい、おられますか?

 大師という尊号は高徳な僧に対する追号で、生前の功績によって朝廷から贈られる諡(おくりな)です。大師号が宣下された高僧は次の22人です。
・伝教大師最澄(天台宗)、慈覚大師圓仁(天台宗)、弘法大師空海(真言宗)、智證大師圓珍(天台宗)、慈慧大師良源(天台宗)、本覚大師八信(真言宗)、興教大師覚鑁(真言宗)、圓光大師法然(浄土宗)、理現大師聖法(真言宗)、聖応大師良忍(念仏宗)、道興大師実慧(真言宗)、法光大師真雅(真言宗)、見真大師親鸞(真言宗)、月輪大師俊ジョウ(戒律宗)、承陽大師道元(曹洞宗)、慧燈大師蓮如(真宗)、道照大師一遍(時宗)、常斉大師螢山(曹洞宗)、無相大師開山(臨済宗)、真空大師隠元(黄檗宗)、立正大師日蓮(日蓮宗)、徴妙大師圓鑑(臨済宗)。
Q 日本仏教にはたくさんの宗派があるようですが、主なものを教えてください。
A 仏教がインド、中国・百済(韓国)を経て日本へ伝わったのは538年、六世紀の半ばです。奈良時代には南都六宗といわれ、法相宗、三論宗、華厳宗、律宗、倶舎宗、成実宗が中国から伝わりました。
平安時代には最澄、空海が入唐し、最澄は天台宗を、空海は真言宗を開きました。平安時代の末から鎌倉時代にかけて天台宗から浄土系の宗派が生まれ、念仏と法華信仰が盛んになりました。さらに禅宗が加わり、戦前は13宗・56派といわれましたが、戦後は多くの分派が生まれ、派は数えることができません。
なぜ多くの宗派に分かれるのかといえば、「仏」になれる時期と手段が異なるためです。八万四千の法門といわれる釈尊(釈迦)の教えの中で、どの聖典によるかによって分かれてきます。
13宗と宗祖、主な寺院を挙げておきます。
・華厳宗 玄坊(東大寺、新薬師寺ほか)
・法相宗 道昭(薬師寺、興福寺ほか)
・律 宗 道宣(唐招提寺)
・天台宗 最澄(延暦寺、寛永寺ほか)
・真言宗 空海(金剛峯寺、東寺ほか)
・融通念仏宗 良忍(大念仏寺、来迎寺ほか)
・浄土宗 法然(知恩院、増上寺ほか)
・浄土真宗 親鸞(東本願寺、西本願寺ほか)
・時 宗 一遍(清浄光寺、無量光寺ほか)
・臨済宗 栄西(建仁寺、大徳寺ほか)
・曹洞宗 道元(永平寺、総持寺ほか)
・日蓮宗 日蓮(久遠寺、本門寺ほか)
・黄檗宗 隠元(万福寺、崇福寺ほか)
Q 真言宗には新義真言宗と古義真言宗があるようですが、その違いを教えてください。また美作地方には真言宗のお寺が多いのはなぜですか?
A 弘法大師から、300年ほど後に覚鑁上人が出られました。覚鑁上人は高野山の金剛峯寺座主などを務められましたが、教義上の違いから高野山を去り、根来に移りました。上人の没後、上人の教えを継ぐ弟子達は新義真言宗の教団を興しました。これに対し、これまでの高野山の真言宗を古義真言宗といいます。
美作地方には220の寺院があり、その半数以上の127が真言宗です。派別の内訳は高野山真言宗88、御室派23、醍醐派7、大覚寺派5、東寺真言宗4です。
美作地方に真言宗の寺院が多いのは、それだけ歴史が古く、古刹が多いということです。山岳寺院が多く、役の小角や行基菩薩の伝承が残る寺が多くあります。また弘法大師空海の伝説も多く、古くから真言宗の広がりの下地がありました。
Q 真言密教の八祖とは、だれだれを指すのですか?
A 真言宗では三国伝来という言葉をよく使います。三国とはインド、中国、日本です。真言密教が弘法大師によってもたらされる経路を指しています。
お釈迦様が亡くなられてから仏教は衰えを見せていましたが、西暦二世紀から三世紀にかけて密教として復活しました。
密教が成立した第一の祖師は龍猛菩薩です。二祖が龍智菩薩、三祖が金剛智三蔵、四祖が不空三蔵、五祖が善無畏三蔵、六祖が一行阿闍梨、七祖が唐、長安青竜寺の恵果和尚です。そして八祖が恵果から灌頂を受けた弘法大師です。
Q 僧侶の僧階について教えてください。
A 真言宗では十五級から一級までの僧階が定められています。
権律師・律師・大律師・権少僧都・少僧都・権中僧都・中僧都・権大僧都・大僧都・権少僧正・少僧正・権中僧正・中僧正・権大僧正・大僧正の十五階級です。
ちなみに名誉住職の弘応は一級の大僧正、住職の弘典は五級の少僧正です。(H21現在)
Q 真言宗の総本山・大本山を教えてください。
A 真言宗には18の総本山・大本山があります。最近では18本山めぐりも行われているようです。

総本山・長谷寺(奈良)・仁和寺(京都)

総本山・智積院(京都)・朝護孫子寺(奈良)

総本山・醍醐寺(京都)、根来寺(和歌山)

総本山・金剛峯寺(和歌山)・西大寺(奈良)・東寺(京都)

総本山・泉涌寺(京都)・善通寺(香川)

大本山・宝山寺(奈良)

大本山・勧修寺(京都)・大覚寺(京都)

大本山・中山寺(宝塚)

大本山・清澄寺(宝塚)

大本山・須磨寺(神戸)・随心院(京都)

※参考文献「広野文化財めぐり」ほか