「保田扶佐子美術館」第二回展示作品

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▲野の門
保田扶佐子美術館は平成22年(2010年)度は、7月3日(土)より土曜日、日曜日開館します。ご来館をお待ちしております。(取材:2010.7.12)第1回 保田扶佐子美術館

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▲保田扶佐子美術館  写真中:作品アルハンブラの思い出  写真右:アトリエ
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▲稀少本・アーティストブック
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▲写真左:12.題 スクリーン 技法 ミクストメディア 制作年 2006   
▲写真右:14.題 貴婦人 技法 ミクストメディア 制作年 2006
       13.題 アルハンブラの思い出 技法 ミクストメディア 制作年 2008
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▲写真左:18.題 想い 技法 ミクストメディア 制作年 2000
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▲写真:アーティストブック
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▲写真右:12.題 赤と黒のセレナーデ 技法 ミクストメディア 制作年 2000
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稀少本・アーティストブック


9.ミロ礼讃 (ODA A JOAN MIRO)
アーティストブック
 ジュアン ブロッサがジュアン ミロと制作した類い稀な素晴らしいアーティストブック。ニューヨークのMOMAで紹介されて絶賛されて以来出版元の画廊の主人がジュアン ブロッサの造るアーティストブックに自信を持ったという笑い話は有名。1973年 Ediciones Poligrafa 出版 限定350部のうち314番 ミロとブロッサのサイン入り。


10.フレゴリ (FREGOLI)
アーティストブック
 ジュアン ブロッサが生涯讃美してやまなかったイタリア人の変装の名人役者フレゴリに捧げるため造ったアーティストブック。タピエスのリトグラフ入り。1969年 Sala Gaspar出版 限定1000部のうち1000番


11.ソネット(SONET)
アーティストブック
 ペラ ジムファレー(Pere Gimferrer)の一篇の詩と保田扶佐子、ルイス ペッサ(Lluis Pessa)のリトグラフ各々3点で構成されている。1989年Lluis Pessa工房出版 7部限定のうち1番 3人のサイン入り。


12.クラーベ (CLAVE)
稀少本
 今は閉鎖されてしまったがバルセロナの有名画廊 サラ ガスパール(Sala Gaspar)での展覧会のカタログ。5点のリトグラフ入り。1970年 Sala Gaspar出版 


13.逆さま カップジラーダ(CAPGIRADA)
アーティストブック
 ジュアン ブロッサの一篇の詩と保田扶佐子、ルイス ペッサ、各々3点のリトグラフフで構成されている。1995年 Lluis Pessa工房出版 限定7部 非売品部


14.フルートの音のための沈黙の色 トット ムダ デ コロル アル ソ デ ラ フラウタ(TOT MUDA DE CLORAL SO DE LA FLAUTA )
アーティストブック
 現代音楽作曲家のメストレス クワデルニ(Mestres quadreny)作 2010年 バルセロナ市役所出版


15.私、誰?ジョ、キ?(JO,QUI?)
アーティストブック
 ジュアン ブロッサの二篇の詩と保田扶佐子のリトグラフ5点で構成されている。1992年 Lluis Pessa工房出版 限定12部 非売品部。2人のサイン入り。おもな内容をガラスケースの上に額装して展示。


16.オイ (OI)
アーティストブック
 ジュアン ブロッサの二篇の詩と保田扶佐子、Lluis Pessaのリトグラフ各々3点で構成されている。保田扶佐子、ルイス ペッサ、ジュアン ブロッサの初めてのコラボレーション。1987年 Lluis Pessa工房出版 限定7部のうち7番  3人のサイン入り。


17.さいころの七つ目 ダウ アル セッ (DAU AL SET)
稀少本
 1948年~1956年バルセロナで起こった同名の芸術(文学、美術。音楽などあらゆる分野)運動の証であるすべてのパンフレット類を4巻の本に集大成して原版に忠実に復刻したもの。「ダウ アル セッ 」とはさいころは6目しかないないが不可能な七つ目を出そうと挑戦した現在のバルセロナ独特の文化を花開かせる源になった重要なグループの名前であり、この4巻はそれら芸術家の中からクシャ(CUIXART)、ポンス(PONC)、タピエス(TAPIES)、タラッツ(THARRATS)に捧げてある。詩人JOAN BROSSAはこの運動の理論的、精神的な父であった。1981年 アウベルト工房出版、限定150部 各々の巻にそれぞれ捧げられた4人のエッチング1点が入っている。


18.お日さま ソル スレッ (SOL SOLET)
アーティストブック
 子供達、恋人達、神話学者達、天体学者達、芸術家達、科学者達、遊牧民(流浪の民)達、エコロジスト達、に捧げられており、ブリキの表紙の装丁もユニークな本。
 カタルーニャ地方の太陽崇拝を根底に持つ伝統的なお祭り、芸能を通して未来に向けての限りなく自由な創造が試みられている。すなわちこの本は地球の理想を宣言し宇宙の美を反映するために用意された魔法の鏡であるという。1987年 Edicions L eixample、S.A.出版


19.ピカソ、ラス メニナスと人生 (PICASSO、LAS MENINAS Y VIDA)
稀少本
  1969年 Ediciones Poligrafa 出版 限定1600部のうち1228番


20.ダリがHOECHST IBERICA,S.A.のために作ったクリスマスカード
 1967年制作


抽象画へのいざない

 抽象画はすでに100年以上の歴史を持っているが抽象画と聞いただけでどうもよくわからないと当惑した表情を浮かべる人がある。そんなひとのためにこの文が何かの役に立てばと思う。
 抽象絵画の創始者の一人であるカンデインスキーは次のような思い出を語っている。「ある夕方帰宅した私は突然目の前に内面的な光に輝いて、言いようもなく美しい絵を見出して驚いた。画面には色彩と形が見えるだけで、何が描かれているかわからなかった。意外にもそれは私の風景写生作品で、ただ逆さまに壁に持たせかけてあったのだ。ところが翌日、昼間の光線でよく見直すとそこに描かれている対象が何であるかはっきりわかって、もはやあの美しい眩惑にみちた色の輝きや形の新しさは失われていた。その時私は自分の絵を駄目にしているのは具体的な対象であると自覚した・・・」と。
 抽象絵画を見る場合、従来の概念による見方は捨てなければならない。なぜなら言葉で明確に指示できる具体的な存在、はっきりと名前をあげることのできる事物はほとんどあらわされていないからである。「女」とか「港」とかいった題名が作品につけられていても、それは出来上がった絵画からのイメージや感情に結び付けて名付けられたものにすぎない。したがって私たちは題名によって抽象絵画を見ることはできない。概念や言葉による媒体を捨てて虚心に、私たち自身の柔軟な感覚を鋭敏に働かせて画面のすみずみにまで分け入り、その細部の変化と全体の調和をみきわめ味わいつくさなければならない。そうすれば色や形や線は純粋にそれだけで私たちの内面に迫りさまざまに心に呼びかけてくるであろう。抽象絵画が「わかる」ためには「わかろう」としないで「かんじる」

こと「沢山の抽象作品を見る」ことにつきる。そうすれば作品は私たちに自然に何かを語りかけ新鮮な感動を与えてくれるであろう。私たちは生まれて最初に海をみた幼児のように突如としてひらけた光景に大きな感動を覚えて日常の視覚で経験することのない予期しない色と形から成り立つ第二の現実がそこに繰り広げられているのを見るであろう。そして心が癒されたり勇気付けられたり自由に解き放たれたり何かしら豊かになっていくのを感じるはずである。
 今日抽象絵画には数え切れないほどの主義(イズム)があり極めて複雑多彩な状況を示しているが大きくは、オランダ生まれのモンドリアンに始まる幾何学的な「冷たい抽象」とロシア生まれのカンデインスキーに始まる自由な情熱をぶつけた「熱い抽象」の二つに分けられる。前者はドイツで起こったバウハウス運動を始めとするデザイン分野に影響を及ぼし後者は主にヨーロッパのアンフォルメル(非定形)の作家達フォートリエ、デュビュッフェ、タピエス...達、またたとえばアメリカ抽象表現主義の作家達、ポロック、デ・クーニング、ロスコ...達によって追求されてきた。
当美術館の作品はどちらかといえば後者の抽象表現主義の系統に属するかと思われる。
 また今日のいわゆる「現代美術」と呼ばれている美術についてはいずれ稿を改めて書いたみたい。現代美術の中に抽象絵画も位置付けられるからである。
参考図書 乾 由明著 抽象絵画ー鑑賞の手引きー
平成22年夏 保芙佐子美術館