西登山 金屋寺(加茂郷88ヶ所霊場第18番札所)

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西登山金屋寺は、西谷の奥の山腹、木ノ口にある。(昭和46年2月10日村指定史跡)
 金屋寺創建の由来については明確ではない。人口に膾灸されているところによれば、阿波村はこの地からタタラ稼業の集団によって開発された。
 阿波村の地は、良質な砂鉄を含んだ真砂土(風化花崗岩)の山が多く、タタラ製鉄の跡と思われる鉄滓の散乱したところや、タタラ製鉄にまつわる地名も多く、古代から近世にかけてタタラ製鉄が行われていたことがしのばれる。
 本来、タタラ製鉄に従事した稼業集団の人たちの信仰したのは金屋子神を祀る習慣をもっていた。金屋子神は自分たちの稼業の安全と加護を願って信仰する神であった。したがって、金屋子神も社はいわゆる自分たちの職場のところに建立されたものと考えられる。

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 往時の口碑は、阿波の木ノ口からタタラ稼業の集団の人たちによって開発された。この地は阿波村発祥の地であると伝えている。当然木ノ口には金屋子神を祀る社があるはずと考えてよい。しかるに木ノ口に現存する堂宇は、西登山金屋寺と呼ばれる明らかな仏教寺院であって、本尊には観世音菩薩が安置されている。この矛盾する事実の詳細については別項『阿波村仏教寺院』にゆずる。
阿波村は、昭和46年2月10日、この地が阿波村発祥のところであり、阿波村最古の由来を持つ堂宇が建立されているところから「阿波村指定史跡」にしてる。

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金屋寺の案内                  本尊 観音菩薩

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手水鉢                     石柱と五輪塔

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阿波村指定史跡の石柱              洗手器

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(先達:木元林造さん)(文:『阿波村誌』より転載)(2022年10月4日撮影)