精霊馬と精霊牛

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精霊馬(しょうりょううま)と精霊牛(しょうりょううし)
 最近あまり見ませんが、お盆に御先祖様の送迎のための乗り物とされるキュウリで作った馬と、ナスで作った牛のことです。地方により様々ですが、一般的な呼称がこのように云われております。

 作り方は写真のようにキュウリとナスに割り箸を挿して、馬と牛に見立てると云う簡単なものですが、馬の尻尾としてトウモロコシの髭のような部分を使用することもあるようです。ナスのヘタは取らず、そのままで牛の顔を表すようです。また、真っ直ぐな物より少し曲がった物の方が、それらしく見え、ナスはどっしりしたものを使うと、より牛らしさがでるようです。しかし、定義はないので作られるならいろいろな独自のものが出来てもよいのでは?と個人的には思います。

 お盆にはこのようなお祀りをする意味合いは、地域の風習などにより諸説ありますが、多く御先祖様が戻って来られる時に、馬に乗って一刻も早く戻って来て欲しい、そして少しでも長く居てもらって、お帰りの際には牛の乗ってゆってくりと帰ってもらいたいとの願いが込められている。また一説にはその逆で、ゆっくりと気を付けて戻っていただき、迷わず早く仏の国へかえっていただくとい説もあります。

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 そのお祀りの場所、向きも同じく地域の風習などで諸説有り、一説には玄関に置くという地域もありますが、一般的には精霊棚に、戻って来られる時の馬の頭を外から内へ向け、帰りの牛の頭を内から外に向けてお祀りします。

そしてお盆が終われば、お供物と共に地域の慣習に則って処理してください。

 昨今見られなくなったキュウリの馬とナスの牛ですが、お盆に御先祖様をお迎えし、お送りするに際し、今一度新たなる気持ちで御先祖様と向き合うという意味合いを込めて、ご家族揃って、ご一緒に作成してみてはいかがでしょうか?新たに何か良いことが見えてくるかも・・・。期待を込めて是非とも作成してみてください。(文:東寺真言宗 清瀧寺 寺報より)