本山寺宝篋印塔(美咲町)
本山寺 宝篋印塔(美咲町定宗) 国指定重要文化財
宝篋印塔とは、もとは宝篋印陀羅尼経という経典を納めるための塔で、基礎の上に塔身を置き、方形の笠をのせ、その上に相輪が立てられます。四隅に装飾突起がついた笠ご特徴的な石塔です。岡山県は宝篋印塔が多く作られた場所で、特に美作地域南部に多いとされています。
本山寺は大宝元(701)年の創建と伝えられる寺院で、本堂、三重塔をはじめ、多数の国指定・県指定重要文化財が残されています。国指定重要文化財の三重塔のそばに立てられている宝篋印塔は、花崗岩製、総高184㎝で、塔身正面には阿弥陀如来、他の三面には梵字が彫られています。基礎の右側面の銘文から建武2(1335)年に作られたことがわかり、室町時代初期の宝篋印塔の名品として高く評価世されています。本山寺には、この宝篋印塔のほか、応永6(1399)年に作られた宝篋印塔、康永3(1344)年に作られた六角型舎利塔(仏舎利を納めるための石塔)もあり、いずれも県の重要文化財に指定されています。
豆知識
梵字...古代インドの言語(サンスクリット、梵語)の表記に使用された文字の総称。密教において、仏や菩薩などを象徴的に表す梵字を種子といいます。
仏舎利...仏教の創始者である釈迦の遺体の一部またはその代わりの品のこと
(文:岡山県教育委員会発行『おかやまの石造物』より転載)
国指定重要文化財
本山寺本堂
(2016年5月7日撮影)