「原田要展 絵画と彫刻の深みに・・・」(真庭市蒜山)
2023年9月7日、真庭市蒜山ミュージアムで開催されている真庭市主催の「原田要展 絵画と彫刻の深みに・・・」に行って来ました。
原田さんの作品展は、まるで森の中に生えた色とりどりのキノコが自分の存在をアピールしているかのような色彩豊かで、どこかおとぎ話の絵本の中にいるような感覚で楽しく拝見できました。
最初吹き抜けの部屋を見上げると壁に掲げられた赤いキノコが印象的でした。そこから通じる通路にはノミで削られたあとに色とりどりのカラフルな色に塗られた楕円形の作品が目につき、その次の部屋にはまたまた、キノコのような作品、2階に通じる階段にもかわいらしいキノコの作品があちことにかくれんぼしているようでした。そして、大きな部屋に掲げられた作品は森で木漏れ日の中にいるような心地よい色使いの作品、また、床には大きなキノコが横たわり長い尾っぽを部屋中に伸ばしている様に私には見えました。作品は中々理解できないのですが、言えるのは色使いの美しさと自然の中にいるような心地よい空間が広がっていて楽しく拝見できたことです。
真庭市蒜山ミュージアム
原田要展
原田要展
原田要展
原田要展
原田要展
絵画の庭・・千蛇花Ⅱ 絵画の庭・・紅唇
紅舟・緑舟花・飛雲
『絵画の庭』と『楕円の絵』
学生時代、単に美しい具象画を描きたいと思い取り組み始めたものの、すぐに具象画の大前提となる「何を描くか」というテーマが自分にはないことに気づきました。さりとて抽象として平面の上に乗せるものもなく、絵画の形式に対する「なぜ皆、素直にキャンバスに自分を託せるのだろうか?」との疑問が残りました。そして「絵画とは、見る人を魅了し続ける力を持つ、描かれた表面」ではないかと考え、平面に描かれた色彩よりも、もっと身体的に実感できる形式を求め、水平に広がる曲面に描くようになりました。次第に形態は複雑になりましたが、庭園を散策するような視点で、描かれた色彩を舐めるように見て楽しんでもらいたい。そんな思いが『絵画の庭』というタイトルに込められています。
一方で「立体でありながら絵画である」はずが、立体の要素が大きくなるにつれ、描く行為がなおざりになっているのではないかという思いが生じました。そこで『楕円の絵』と題した平面的な作品において、彫刻的な要素を省き、描くことに特化した試みを行っています。表面を彫り、そこへ絵具を置いていく。何かを描くのではなく、そこにあるべき色を、絵具という物質を定着させていく。はてしなく繰り返された結果が、ひとつの画面として結実すること。
改めて絵画としてのあたりまえの難しさに直面しています。 原田 要