森の芸術祭「城東むかし町家」

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 津山市東新町にある江戸時代末期に建てられた「城東むかし町家」(旧梶村邸)では、大阪のアーティスト片桐功敦さんが制作された、津山産小麦を使った作品が目に飛び込んできます。お庭に回ると明治時代に作られたお茶室があり、八木夕菜さんの作品があります。そして、部屋の中には、1980年、ベイルート(レバノン)生まれ。現在はパリ在住のアーティスト、電子音響音楽の作曲家タレク・アトゥイさんの作品が部屋いっぱいに並べられて、時折吹く風に反応して音を出しています。うまく言葉では伝えられないので、一度、体感してみてください。(2024年10月11日撮影)


 ここは、元禄時代(江戸時代)に建てられた町家です。この梶村家は、茂藤籐右衛門(しげとうとうえもん)が、1767年(明治4年)に津山藩から「札元」(今の銀行)を命じられ「藩札」の発行をしていました。その前までは、吉井川を行き来していた「高瀬舟」のいろいろな品物を取り扱っていました家です。

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東新町にある「城東むかし町家」(旧梶村邸)は、出雲街道沿いにあります。

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入口正面には、この家にあった蓑傘(みのかさ)が飾られています。

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片桐功敦さんは、1973年大阪府生まれの華道家で、花道みささぎ流家元です。
 片桐さんは、自然との関わりをテーマに国内外で多くの作品を発表されています。「作品を通じて、訪れた人が津山の魅力を知るきっかけになれば」とこの町家の土間に幅8メートル、高さ4メートルの土を塗った斜面を設け、津山市内で収穫された小麦を生けた作品です。

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昔の台所がそのままに残っています。江戸後期から昭和初期にかけての城東地区を代表する屋敷として大切に保存されています。

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旧梶村邸です。                 入口には綿がアレンジしてあります。

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城東むかし町家の庭です。

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八木夕菜さんは、1980年生まれで京都を拠点に活躍されています。パーソンズ美術大学建築学部卒業。
写真を軸に「見る」という行為の体験を通して、多視点観点から意識の変容を促す作品制作を行っておられるそうです。

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お茶室
明治時代に、梶村平五郎という人は県会議員でしたが、短歌が大変得意で、この茶室で短歌の勉強をしていたそうです。明治42年には「歌会始」に入選しています。またこの茶室は「千草の舎」(ちぐさのや)と言われています。

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タレク・アトゥイ
1980年、ベイルート(レバノン)生まれ。現在はパリ在住。アーティスト、電子音響音楽の作曲家。
ダイナミックなインスタレーションや、実験的な音響環境、共創的なパフォーマンスなどを通じて、音という媒体や、音が人間の認知を実体化するあり方について探究している。
 アトゥイは、様々な国の作曲家や工芸作家との共同作業を通じて、強い彫刻的オーラを放つ複雑な楽器を発明する。幅広い素材と知識を融合させることで、ブロンズや水、ガラス、石などといった素材の音響的特性や、音の伝達や反射のユニークな特質について実験を繰り返している。カスタムメイドの電子機器やコンピューターを用いて、アトゥイは現代の社会・政治的状況に言及するとともに、表現やアイデンティテイの力強い要素として音楽やテクノロジーを提示する。様々な地域のコミュニティとコラボレーションし、自らが生み出した多感覚的環境への鑑賞者の参加・体験をも促すアトゥイの制作活動において、教育や人間関係は欠かすことのできない重要な要素となっている。(文:森の芸術祭より)

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それぞれの物体が自然の風などで、微妙に音を出しています。

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足元から音が伝わってきます。