「書道と私」阿部雲魚(1912~2012)

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 「阿部雲魚さんは、明治45年に作東町でお生まれになり、18歳で上京。農林省の職員として勤務している時、植物学の牧野富太郎氏や鳥類学の内田清之助氏らの硯学の知遇を得て学問の大切さを教わり、書では前衛書の大家だった上田桑鳩氏に師事し、仮名書の安東聖空氏、洋画家の小磯良平氏、中川一政氏らとも親交を深められた。
 戦後、郷里作東町に戻られてから、闘病生活を送るなど苦難の連続でしたが、牧師だった父や良寛の行き方に感化を受け、名利を追わず、書と絵と歌の遊芸を楽しむようになられた。祖父や父の影響で幼い頃から多くの本に囲まれて育ち、現在に至るまで膨大な量の書籍を読破し、各界の著名人との交流を重ねてこられた、その豊富な知識に裏づけされるように、墨象や伝統的な書法だけでなく甲骨文字を意匠化し、小石に描いた絵や抽象画など、作品の幅は広がるばかり。日々の生活で出会う自然、人との出会いと全てがテーマ。書でも絵でも、そのテーマに対して五感フルに働かせて対峙するといわれる作品からは、同じ人が生み出したとは思えない程バラエティー豊かで、独自の芸術の世界に触れることができます。」(春名宏作東町長の紹介文より)(岡山と中国HPより

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 二十代の時、入院7年間で日本中国の書の歴史の勉強をして一万首の歌にした。中国好きで岡山県日中友好協会に通じて中国瀋陽博物館に作品130点贈呈しました。最後の103歳の時の書を見ると一本の線の中に宇宙があり、その余白の中に大自然がある。大いなるものの力につつまれて今日を生継ぐ筆を求めて。

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明日は明日の風がふく              良寛詩

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三十六人集

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三十六人集

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三十六人集

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三十六人集

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三十六人集

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阿部雲魚 略歴                  美作市作東美術館
・明治45年2月9日 岡山県英田郡作東町大内谷139番地に生る
・岡山県勝間田農林学校卒業後二松学舎及び明道士塾(蔦屋鐵心主宰)に漢籍を学ぶ
 上田桑鳩、方丈無々齋、鈴木秋嶺、坊野喜月の諸先生に書を学ぶ
・昭和14年迄東方、秦東両書道展の外中部書道連盟、三楽書道展、日本美術協会等に出品したが感ずる所があって公募展の出品を停止した
・正筆會同人、新興書道會審査員となったが辞退し、生前は県北書作家協会や心象書道會並びに、天陽書道院等の経営の傍ら後進の指導に従いつつ書と、絵と、短歌を好む。
・主として抽象画を80才から始める
・個展を岡山、尼崎、津山その外の地等で30回開く
・1999年日本画廊協会展に出展しグランプリを受賞する
・平成24年7月14日 享年104才にて逝去

墨に生きる
-書・水墨画等思い出と感謝
人生は九十歳から
水墨画家 阿部風木子氏(1923~2018)は弟である。