2020年9月13日・14日と浄土宗開祖・法然上人生誕地である栃社山 誕生寺（岡山県久米郡久米南町里方808）の駐車場に建てられている記念碑を訪ねてきました。
　正面「南朝作州七忠臣竝忠死者二十人総忠魂碑」、側面左「樞密院副議長從位勲一等男爵平沼騏一郎謹題」、側面右「民部介菅原尚忠竝室法然上人叔母君秦氏彰徳」が、誕生寺境内に昭和9年4月3日に建立され、その後、平成7年に第二駐車場に移設されたそうです。若い住職にお伺いすると「詳しくは存じ上げませんけれど、碑文を保存しております。」と碑文の写しをくださいました。

「二十五菩薩天童迎接練供養会式大法要」

表面「南朝作州七忠臣竝忠死者二十人総忠魂碑」

側面左「樞密院副議長從位勲一等男爵平沼騏一郎謹題」
側面右「民部介菅原尚忠竝室法然上人叔母君秦氏彰徳」　

裏面「南朝作州七忠臣竝忠死者二十人総忠魂碑」碑文

南朝作州中臣総忠魂碑建設會顧問

誕生寺の住職に頂いた碑面文字

南朝作州七忠臣井忠死者二十名総忠魂碑碑文
元弘三年閏二月名和長年

後醍醐天皇ヲ奉ジテ船上山ニ義兵ヲ擧グルヤ、有元・福光・植月・原田・鷹取・廣戸・江見等美作菅家ノ一黨ハ相率ヰ前ミ馳セ参シテ　主上ヲ守護シ奉ル、殷ニシテ有元佐弘忝クモ　優詔チ拝シ一族ヲ引率シテ六條忠顯ニ従ヒ赤松則村等ト共ニ京都恢復ノ途ニ上リ、同年四月三日六波羅ヲ攻ム、敵将武田兵庫助氏顯・糟谷・高橋等ト四條猪熊ニ激戦シ大ニ敵軍ヲ破ル、然レドモ衆寡敵セズ、味方ハ殆ンド戦死シ、剰へ後續部隊モ退去セリ、故二決死ノ勇ヲ以テ奮戦シ遂ニ敵将ヲ殪ス、有元佐弘・同佐光・同佐吉・福光佐長・植月重佐・原田佐秀・鷹取種佐ノ一族七忠臣並二十人殉忠枕ヲ並ベテ共ニ忠死シ、魂魄ハ永ク　皇城ノ鎮護トナレリ、爾來星霜六百年二埀ントシ、即チ大正四年十一月十日有元佐弘・同佐光ハ從四位二、同佐吉ニハ正五位、大正八年十一月十五日植月重佐・鷹取種佐ニハ正五位、大正十三年二月十一日原田佐秀・福光佐長ニハ正五位ヲ譄ラレ、七忠臣ノ枯骨ハ天恩二依テ新光ヲ放ツコトヲ得タリ、其ノ血統ヲ享ケタル幾多ノ末裔モ亦無上ノ光榮ニ感激シ郷黨擧ツテ以テ大ニ矜トナス、惟フニ贈正一位太政大臣菅原道眞八世ノ孫ニ知賴ナルモノアリ、美作守トナリ當國二住ス、知賴ノ孫民部介尚忠ノ室ハ、作州ノ名門錦織部ノ長者、孝子釵位三階泰豊永ノ後胤泰氏ノニ女タル泰氏ハ仲賴ヲ生ム、仲賴ノ子滿佐、其ノ子忠勝、其ノ子佐賴、其ノ子佐高ハ實二佐弘・佐光・佐吉ノ父タリ、其ノ姉タル泰氏ハ美作久米ノ押領使稻岡荘司漆間時國ノ室トナル、是レ實二浄土宗ノ元祖法然上人ノ母タリ、又時國ノ系譜ヲ稽フレバ、源光公ノ六世ノ孫二源年ナルモノアリ、久米押領使神戸大夫漆間元國ノ女婿トシテ盛行ヲ生ム、其ノ子重俊アリ、其ノ子國弘アリ、其ノ子時國アリ、是レ實二法然上人ノ父タリ滿佐ノ第三子ニ周長アリ、其ノ孫實ニ佐長タリ、滿佐ノ第四子ニ公興アリ、其ノ孫實に重佐タリ、滿佐ノ第五子ニ忠門アリ、其ノ孫實ニ佐秀タリ、滿佐ノ第六子ニ佐利アリ、其ノ孫實ニ種佐タリ、此ノ如ク系譜ヲ検尋スレバ贈位拝受ノ七忠臣ハ悉ク其ノ遠祖ハ菅原道眞ノ正系ニシテ法然上人ノ血統ナリ、一門同時ニ忠死シテ又同時ニ贈位セラレシコトハ古今ニ冠絶スト稱スベシ、茲ニ七忠臣外二十人ノ英魂ヲ永遠ニ弔祭センガ爲メ是レ此ノ総忠魂碑ヲ建設スルモノナリ。
建武中興六百年忌　昭和九年四月三日　（文：碑文より）