出雲街道、勝間田宿「下山家古文書展」

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 令和2年10月27日(火)~11月8日(日)まで、勝央美術文学館町民ギャラリー1で「出雲街道勝間田宿 下山家古文書展」が開催されています。

はじめに
 出雲街道は、古代には畿内と出雲を結ぶ道として発展し、人々や文物が行きかう交通の要路でした。江戸時代になると参勤交代のため街道が整備され、休憩や宿泊の拠点として整備されていきました。
 勝間田は参勤交代の宿場町として整備され、美作七宿のひとつとして栄えていました。宿場内には、諸藩の参勤交代にあたって、大名や供の者が泊まった旅舎が二つあり、おもに津山藩主などが宿泊した下山本陣と、松江・勝山藩主などが宿泊した木村本陣がありました。今回の展示では、下山本陣と本陣を営んでいた下山家に焦点を当て、関連の古文書を展示いたします。

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ごあいさつ
 勝央町内には、古来より人々が暮らし、往来してきた痕跡である文化財が多く残されています。なかでも出雲街道勝間田宿は江戸時代における参勤交代のもと、休憩・宿泊の拠点として発展してきた、勝央町が誇る歴史遺産です。
 今年4月、下山家の御子孫であります末澤るり氏に、たいへん多くの下山家に関連する古文書を、本町にご寄贈いただきました。改めて、深く感謝申し上げます。
 今回、ご寄贈いただいた古文書の一部ではありますが、一般公開する機会を設けました。この機会に町の歴史に触れ、江戸時代の出雲街道勝間田宿の人々の暮らしや心に、思いを馳せていただければ幸いです。 令和2年10月27日 勝央町教育委員会教育長 中島 章

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天保期の勝間田宿(出典:竹久順一/平成16年『美作の風土 古道と宿場集落』)

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書下山家古文書後(要旨)この軸は下山家の古文書中より摘出し作った軸

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井ノ内城                    下山本陣間取模式図

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御名乗加冠(昔の印形判断の手法)        本長流烽爐火矢之巻(火砲の作り方)

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有馬守遠江守様御宿帳              御直書(松平康倫感謝状)

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四代将軍家綱御内書               宿方人馬議定書(川越人足)

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黒坂村御立場御雪隠一ケ所惣御入用        広戸岩屋山御大権現雨迄開願参詣名面帳

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新たに判明したこと
本陣と脇本陣
 江戸時代に幕府の役人や勅使、大名などが宿泊・休息した公認の旅宿を本陣と呼ぶ。脇本陣は、本陣の補助的な休泊施設として指定され、大名に次ぐ家老などが宿泊したとされる。
 本陣の家屋構造には共通性があり、原則、門・玄関・上段の間があり、これにより一般の旅籠屋とは性質が異なる。
 本陣は一宿に一軒というきまりはなく、本陣のない宿駅もあれば、一宿に数軒を数える宿もある。勝間田宿には下山本陣と木村本陣の二つの本陣があった。

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(関札)三浦麟之助、松平主計頭、有馬遠江守、松平越後守、松平出羽守が宿泊

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(関札)関備前守や国造千家など多くの方が宿泊されています。

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書簡 婚礼の祝状                庄屋制度

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寺証文 控(天保)

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末澤家所蔵資料も同時展示されています。

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勝央町文化財保護委員長の赤木さんと、津山おくにじまん研究会の末澤さんと記念にパチリ!

おわりに
 今回、展示いたしました古文書の寄贈者であります、末澤るり氏の御先祖は明治時代以降、当主を下山六郎兵衛、猪十郎、元太郎と続き、戸長・村長などを歴任されています。そして元太郎の次男であり、るり氏の父である下山省三氏は「勝央町の歌」を作詞、他に文学作品がラジオドラマ放送される等、多彩な活動をされていきました。このたびの展示にるり氏は下山家としての思い出の数々を提供してくださいました。厚く御礼申し上げます。
 本展示会を実施するにあたり、勝央町文化財保護委員長・赤木耕三氏にご協力をいただきました。また、小島徹氏には古文書の解読にあたり、様々なご教示をいただきました。改めて御礼申し上げます。
本日はご来館いただき、まことにありがとうございました。
勝央町教育委員会