美作歴史ネットで訪ねた中世式内八社の秋祭り

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 2019年度美作歴史ネット地域研修会のお誘いで真庭市社の「式内八社」について学んできました。
式内社:延長5年(927)に完成した『延喜式』第9・10巻「神名帳上下」に記載された神社。美作11座(10社)、備前26座(21社)、備中18座(18社)
美作の式内11座(一宮中山神社、二宮高野神社、三宮天石門別神社、社八社)
―中世の遺産・文化が色濃く残る社へ―
 山々に囲まれ、清らかな水が湧く、自然豊かな社地域は、まさに日本の原風景。そんな社地域には、神社や御堂、石造物、城跡などの歴史遺産が数多く点在しています。
 平安時代、醍醐天皇の命で編纂された『延喜式』に記載された重要な神社は、「式内社」と呼ばれていました。『延喜式』に記載された美作国11の式内社のうち、社地域にはじつに8つが集中しており、古代から神聖な場所とされてきました。中世以降にも多くの記録に記載され、古い形をとどめる祭りや行事も残っています。
「式内八社」とは佐波良・形部神社(県社)、二宮(長田、兎上、壱粟・大笹、久刀神社)、横見神社の8つの神社の通称です。(文:式内八社の里めぐりパンフレットより)2019年10月9日撮影

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大御堂
 大御堂が創建されたのは、寿永4年(1185)と伝わりますが、定かではありません。堂は現在「堂ノワキ」という場所に位置し、北側に「堂ノモト」という地名があることから、本来は現在地のやや北へ建てられていた可能性があります。建築された当初は、一辺が8間(約14.5m)あったものの、その後、江戸時代初期に3間に縮められたとも伝えられます。現在は吹き抜けですが、柱には、かつて板戸で仕切られていたことを示す跡が残されており、幾度かの再建・修復を繰り返しているものの、部材には室町時代以前に遡る古材も多く残されています。(文:現地案内より)

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 社地域の式内八社でも、江戸時代までは、神を仏として祀る「神仏習合(しんぶつしゅうごう)」が行われており、この大御堂もかつては「神宮寺」とも呼ばれていました。今もその名残として、堂の西側に「神集場(かんなつば)」というお旅所があり、秋祭りには八社の神々が集まって神事が行われます。また、7月中旬には、地域住民が堂に集まって大きな数珠を廻し、五穀豊穣や虫除けを祈願する「百万遍」も行われています。

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大御堂

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秋祭り             ボランティアガイドの皆さんとユニフォーム

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「神集場(かんなつば)」というお旅所があり、秋祭りには八社の神々が集まって神事が行われます。

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神集場(かんなつば)

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二宮
 この場所には、社地域にある「式内社」のうち、久刀神社、長田神社、兎上神社、壱粟神社・大笹神社の5社が集まっており、大社の佐波良神社・形部神社に次ぐことから、「二宮」と呼ばれています。
 壱粟神社・大笹神社がひとつの社殿に合祀されているため、社殿は4つとなっています。祭神はそれぞれ、「久那止神」、「事代主神」、「弟彦王」、「神大市比売命」・「大佐々神」といわれています。
  北側の山林や畑は、「オノカミ」という地名で、そこから祭祀用と思われる土器が出土したことがありました。そのことから、本来、別々の場所にそれぞれの神が祀ってあったものを、現在地に集めたのではないかとも推測されますが、定かではありません。(文:現地案内より)

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二宮

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二宮
・長田神社(ナガタ)長田神(事代主神・大国主命の子)
・兎上神社(オノカミ)兎上神((久那止神・悪霊邪気を払う神)
・壱粟神社2座(イチアワ)壱粟神(神大市姫命・須佐之男命の妻)
・大笹神社(オオササ)大佐々神
・久刀神社(クト)久那止神

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・横見神社(ヨコミ)大山津見命

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・佐波良神社(サハラ)佐波良神 大社(県社)
・刑部神社(カタベ)刑部神(神阿多津比売命・木鼻開耶姫・大山祗神の娘) 大社(県社)

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佐波良神社・形部神社
 佐波良神社・形部神社は、社地域にある「式内社」のうちの2社が、ひとつの社殿に祀られたものです。祭神はそれぞれ、「佐波良命(さわらのみこと)」、「神阿多津姫命(かむあたつひめのみこと)」といわれています。
 式内社とは、醍醐天皇の命令により、平安時代中期に編さんされた「延喜式」という法令集に記載されている神社のことです。現在の社地域には、この式内社が8社あることから、通称「式内八社」と呼ばれています。
 この神社は、江戸時代までは「大社」、現在では通称「県社」と呼ばれています。明治時代になって、県内の神社がそれぞれランク付けされた際に、この神社が、高位である「県社」に指定されたことによる呼称です。
 本殿の裏側には、石積の祭祀遺構が残っています。周辺からは奈良時代の土器も出土しており、古くから信仰の場であったことがわかります。
 なお、神社前の田は、「大社ノマエ」と呼ばれており、参道・鳥居の両脇の田は、かつては牛を使わず鍬(くわ)だけで耕し、牛糞ではなく枯葉や草を肥料としていました。このように、神域では、清浄さを保つことが徹底されていました。(文:現地案内より)

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参道              本殿

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本殿背後の石積み                須恵器の破片があたりに散乱しています。

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大杉(2003年NHK大河ドラマ「武蔵 MUSASHI」のロケが行われた。)
佐波良の大杉
 昭和三十四年三月十日指定
延喜式式内社の佐波良神社・形部神社の境内に聳える杉の老大木で、県下では五番目の巨木である。根周り一〇.七メートル、目通り九.一メートル余、樹高は四十三メートルを越す。幹の根元は谷川を跨ぎ、上部は六本の大枝に分かれ樹勢まだ旺盛で樹齢推定九百年余、土地の人は千年杉と呼んでいる。(文:現地案内より)

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縁結び之木
 この木は、スギとモミが根元で結合しており非常に珍しいものである。このように一つの木が他の木と連なって理(木目)が通じたものを「連理の木」と呼び、「縁結び」「夫婦和合」などの象徴とされている。(文:現地案内より)

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八畳岩
 高さ約6m(地面からの高さ)、周囲約37mもある巨大な花崗岩は、岩の上部に広い平面があることから、「八畳岩」と呼ばれ、かつては、製鉄の鉄穴(かんな)流しの際に露出したとされてきました。しかし、この地で製鉄が盛んだったのは江戸時代中期以降であること、周囲の水田周辺にも幾つかの巨石が残ることから、岩盤質の地形が作り上げた偶然の造形物と考えられます。
 日本では古くから、巨石、奇岩なども霊場として信仰されています。この巨石も、古い時代から地域の信仰対象となっていた可能性が高そうです。(文:現地案内より)

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八畳岩

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御世話役の行田さんと案内役の柿本さんです。大変お世話になりました。

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湯原温泉

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        薬師堂             江戸時代から続く旅館 油屋
由来
本堂の開基は今から四百年ほど前の慶長年間であります。本尊はこの前の温泉館の湯元から出現したといわれ、小指ほどの大きさの金銅製の薬師如来です。明治二十六年の大水害でこの堂が本尊もろとも流されましたが、この小さな御本尊がここから八十粁ほど下流の金川町の河原で釣人を呼びとめて砂の中から拾われ「湯原に帰りたい」という夢のお告げでお帰りになりました。
以来「健康かえる」「銭かえる」のお薬師様として温泉の効能と共にあらたかであります。
延命山温泉寺薬師堂(文:現地案内より)

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鼓岳(つづみだけ) つづみ橋
 対岸の岩崖は、「鼓岳(つづみだけ)」と呼ばれる名勝です。
 つづみ橋から鼓岳を拝み手を打つと鼓のように音がこだまして返ってくる事から鼓岳・つづみ橋と呼ばれています。川の水が少なく雪が降り積もる静かな冬には、山の木の葉も落ちて音が良く反射します。(現地案内より)

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足湯

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湯原温泉民俗資料館の古い写真

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湯原ダムの出来る前の景色

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最後にオオサンショウウオの保護センター(はんざきセンター)を見学させて頂きました。


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