山田方谷記念館(高梁市)

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開館にあたって
 高梁市では、地域の将来展望を見据えた取組の一環として策定した「高梁市まち・ひと・しごと総合戦略」(平成28年1月)の中で、「心豊かな人材の育成」を目指すこととし、「郷土の偉人山田方谷の顕彰と啓発」を、その施策の一つに位置づけています。
 具体的には、幕末期に財政破綻した備中松山藩を立て直した「山田方谷」の改革理念やその手法、そして多くの人々に感銘を与えた「思想」について、市を挙げて学ぶとともに、「山田方谷」の残した偉業を全国に発信し、「学びのまち」高梁を形成することとしています。
 本館は、その目的達成に向けて、「山田方谷」の偉大な事績について、「儒学者への道」「備中松山藩の藩政改革」「教育への情熱」の三つのテーマを設定して、各種の歴史資料や解説パネルにより、わかりやすく展示・紹介しています。
 また、市内はもとより県内各地の「方谷ゆかりの地」や、方谷に関する書籍・映像を紹介し、「山田方谷」に関する情報を発信する拠点施設として整備しました。(山田方谷記念館)

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1,儒学者への道
 山田方谷(1805~1877)は、備中国阿賀郡西方村(現高梁市仲井町西方)の農商家に生まれ、幼少期から勉学に励み、5歳で、新見藩の儒学者丸川松隠に師事しました。父母の死により、松隠の塾を離れ、家業を継ぐことになりましたが、父の遺訓を守り、家業と学問に精励しました。21才の時には、備中松山藩主板倉勝職(かつつね)に優れた学才を評価され、二人扶持を給され、藩校「有終館」学頭に就任するとともに、家塾「牛麓舎」を開き、優秀な人材を育成しました。

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2,板倉勝静(かつきよ)が新藩主になると、方谷は藩の財政責任者である「元締役兼吟味役」に抜擢されました。当時の藩の財政は、慢性的な赤字に加え、10万両に及ぶ借財に苦しむ危機的状況でした。彼は、単なる負債整理と節約・緊縮政策にとどまらず、産業振興・民生刷新・文武奨励・軍政改革等の分野で、大胆かつ的確な改革案を提示し、着実に実行しました。その結果、7年後には全借財を返済した上に、10万両を蓄積するという成果を導いています。このことにより、藩主勝静の幕政参画の道が開かれ、自らも政治顧問として江戸に出府し、幕末動乱期の政治に携わることとなりました。

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3,教育への情熱
 方谷は、藩校「有終館」や家塾「牛麓舎」で優秀な人材を育成し、藩の要職へも積極的に登用しました。明治以降には「長瀬塾」(現高梁市仲井町西方)・「小阪部塾」(現新見市大佐小阪部)を開き、多くの更新の指導に意を注いでいます。また、美作地域の郷学創設や、「閑谷学校」(現備前市閑谷)の再興にも積極的に関与しました。幕末から明治初期に至る激動の時代を駆け抜けた方谷は、万事につけて「至誠即惻怛」(誠意を尽くし人を思いやる心)と、「士民撫育」(すべては藩士と領民のために)の精神を貫き、その教えは現代のわれわれの心にも深く刻まれています。

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岡山県高梁市「山田方谷記念館」
 幕末の備中松山藩において、藩政改革を成し遂げたやまだ方谷の偉大な事績について、「儒学者への道」「備中松山藩の藩政改革」「教育への情熱」の3つのテーマに分けて、歴史資料や解説パネルにより、わかりやすく展示・紹介しています。

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木造 山田方谷像(宮本隆制作)         高瀬舟

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山田方谷ゆかりの地を案内してくださった方谷末裔の山田館長

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備中松山藩主・板倉勝静            山田方谷画像(平木政次筆)

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方谷揮毫奉納額「天下泰平・国土安全」「風月」  方谷が使っていた硯

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備中松山藩の藩札                采配

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魚佩                       有終館鬼瓦(江戸時代後期)
(2021年2月6日撮影)