国内最大級「皮袋形瓶(かわぶくろがたへい)」
皮袋形瓶
今回は市内高尾の「桑山南4号墳」から出土した珍しい須恵器を紹介します。
今からおよそ1600年前の古墳時代、朝鮮半島から須恵器と呼ばれる焼き物が伝わりました。この焼き物は、集落跡だけではなく、墓からも出てきます。
墓には、亡くなった人のため、特殊な形の須恵器を納めることがありました。桑山南4号墳では、坏(つき)(飲食物を盛る器)や壺など一般的な須恵器のほか、「皮袋形瓶」と呼ばれる須恵器が出土しました。革をとじ合わせて作られた袋をまねたのではないかと考えられているため、このような名前が付いています。
把手(とって)など一部が欠けているものの、ほぼ完全な形です。高さ33センチ、幅25.5センチと非常に大きく、全体に模様が施されていて大変華やかな印象を受けます。
実は、桑山南4号墳から出土したものは、皮袋形瓶の中でも全国的に珍しい形をしています。
11月30日(金)まで、津山市弥生の里文化センター(沼)で展示しているので、「どこが珍しいの?」「ほかにはどんな皮袋形瓶があるの?」など、疑問に感じた人は、ぜひお越しください。
企画展「桑山南4号墳の発掘調査」開催中です。
令和2年に発掘調査を行った 桑山南4号墳(くわやまみなみ4ごうふん)の出土遺物を初公開しています。出土例が稀で国内最大級の皮袋形瓶(かわぶくろがたへい)等の出土遺物や古墳の概要を紹介しています。
会期 令和4年8月1日月曜日 から 令和4年11月30日水曜日 まで
場所 津山弥生の里文化財センター 3階ギャラリー
【入館料】無料
【休館日】土曜日・日曜日・祝日
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、ご来館時はマスクの着用をお願いします。
(文:弥生の里文化財センター)
細かな模様
皮袋形瓶 丸みがある
内部の様子
皮袋形瓶の裏面 展示の様子
同じ皮袋形瓶
須恵器提瓶 須恵器横瓶
須恵器横瓶 須恵器横瓶
須恵器 壺 須恵器脚付きはそう
埋蔵文化財発掘調査速報展 発掘の様子
菱形の透かし孔(県内では例がない形の透かし孔だそうです。)
須恵器
玉類 馬具
佐良山古墳群と桑山南古墳群の説明
桑山南4号墳の調査 墳丘の調査の説明
桑山南4号墳の調査 出土遺物
桑山南4号墳は、市街地南部の皿川(さらがわ)左岸の高尾(たかお)地内に所在し、5基の古墳から構成される「桑山南古墳群」の1基で、径10m程度の円墳です。埋葬主体は長さ3m、幅1mの竪穴式石室で、内部から須恵器、馬具、鉄製品、耳環(じかん)や玉などの装飾品など多彩な遺物が出土しました。
特に皮袋形瓶は液体等を入れて運ぶ革袋に由来し、朝鮮半島を経由する過程で土器に写されたものだと考えられています。大きさは高さ約33cm、幅約25.5cmで、把手や口縁部に欠損はあるものの、ほぼ完全な状態で出土しました。一般的な皮袋形瓶は高さが約15cm前後であり、4号墳出土のものは国内最大級と思われます。
また、4号墳以外の4基は一般国道53号(津山南道路)改築工事に先立ち岡山県古代吉備文化財センターが発掘調査を実施しています。これらの発掘調査により、桑山南古墳群は6世紀中ごろから7世紀中ごろにかけて築造された古墳群であることがわかりました。(文:弥生の里文化財センター)