史跡津山城跡二の丸東側石垣修理工事見学会

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 国史跡の津山城跡整備事業の一環として、令和元年度から津山市が行っていた二の丸東側石垣の修理工事が終了したので、2023年3月11日に現地見学会が行われました。当日はお天気も良く汗ばむくらいの中、普段は入れない所での見学会でした。この工事で一番大変だったのは、東側は狭くて大きな重機が入れないので、石垣を挟んだ見えない本丸からのクレーン操作だったそうです。
 この石垣修理工事は令和元年12月~令和5年3月、工事金額は171,523,000円、解体した石のは約950個(築石および大きめの間詰石含む概数)、解体面積は242㎡(表面228㎡、背面14㎡)、取り替えた石は(築石サイズ)約70個(破損によるものと、花崗岩の取り替え)
2021年11月28日の二の丸東側石垣修理工事の現地見学会の様子

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菜の花が咲いています。

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さくらの標準木です。

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今まで気が付きませんでしたが、水道の蛇口が3つあります。

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二の丸四つ足門へ続く階段です。

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備中櫓です。

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もうすぐ備中櫓が桜の花で埋まります。

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本丸藤棚から見る市内の景色です。

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夏椿の木があります。              現地本丸に集合です。

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東側の景色です。                現地へ向かう一行です。

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この天端については、まだ仮の復旧であるため、不織布を敷いています。来年度以降、この場所を含む周辺の排水がうまく行えるよう検討した上で、上面の整備を行う予定です。

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平成23年度~へ平成29年度まで変位計測で動きがあるかどうかを確認し、石垣が大きく孕んでいるところで特に動きがみられたこと、法面の下が急峻な崖であり下には民家もあることなどから、石垣の解体修理を決定しました。

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石垣は、少なくともこれまでに2回の修理が行われていることが判明しています。いずれも崩れた石垣の復旧工事です。

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今回の解体修理工事では、番号をつけた石を、上下左右の位置関係を確認しながら一つずつ解体し、並行して、背面の栗石と、盛土(二の丸東側石垣の場合は途中から地山削り出し)も除去しました。
解体の際には、一つずつの石材について、大きさや材質、破損状況、重量、刻印の有無など、いわゆる石の「カルテ」を作成し、後の時代になっても、工事の際に取り替えた石かどうかが分かるようにします。
解体の際に刻印が確認された凝灰岩=津山石は14個程度ありました。入隅よりも北側の上から3段目付近に、同じ刻印が多くみられました。

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築石は、基本的には解体前の場所に積み直しましたが、割れていたり、ヒビの入った石については、それぞれ使用可能か確認し、使えないものは新しい石に取り替えました。
津山城の石垣に使われている凝灰岩(=津山石)でない、花崗岩が使われていた箇所については、津山城の本来の石垣に戻す方針に基づき、凝灰岩に取り替えました。

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上記写真は昭和修理時の花崗岩です。

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間詰石(築石と築石の間に入れる小さな石)についても、必要に応じ、小さい数個の間詰石を一つの大きな間詰石に取り替えるなどして積み直しました。
津山城の裏栗石は、直径5~10cmの河原石であり、割石はほとんど使われていません。積み直しの際にも、河原石を詰めていき、その背面に石灰を配合した土を入れながら積み直しを進めました。栗石の空隙については、砕石を入れました。
解体の際に石垣の背面からあらたにみつかった石垣や、石組の排水溝(石垣上から5段目に穴の空いた部分)についても、番号を付け、築石と同じように積み直しを行いました。

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昭和40~41年に行われた調査では、本来は他の場所と同様、背面に石垣があったと想定されるため、石垣があったことが分かるように、石を一段並べました。本来は、二段~三段の石垣が存在していたと推測されます。

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本丸の景色です。

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天守跡が見えます。

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ここが本丸御殿へ入る玄関跡です。

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美しい石垣です。

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三の丸の石垣です。               鶴山館は修復中です。

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鶴山課館から備中櫓を望む。
(文・文中の絵図:津山市現地案内資料より転載)