当山の開祖は、嵯峨天皇の時代嵯峨山と伝えられていますが不詳です。播磨の三木城主別所家の菩提所として再建され、別所寺と呼ばれていました。
　天正八年（1580）正月に三木城が落城し、別所長治自刄の翌年、宇喜多和泉守直家により別所山安養寺と命名されました。慶長の初め、快鏡上人により再興され、度々の災禍の後、弘化三年（1846）に日笠快道上人が新住され、私財をもって本堂、庫裡を再建され、宝筺印塔を建立、西国三十三観音を勧請、野津羅井堰築堤して水路を開くなど、中興の祖となられました。久田村安養寺の略歴です。
　平成五年、もとは旧奥津町土生にあり、奥津ダム建設のため当地を得て再建、平成十年四月に落慶しました。
　本尊は、阿弥陀三尊です。他に鎌倉後期の等身大十一面観音、室町期の不動明王ほか、聖観音、弁財天、毘沙門天などを祭祀してあります。西国三十三観音は南の山、岡山から北の山、天王ノ木にかけて勧請し、遊歩道も整備してあります。（文：『高野山真言宗美作八十八ヶ所霊場』より）（写真：2019年9月16日・20日）

美作八十八ヵ所霊場 第六十八番札所です。

別所山 無量壽院 安養寺境内です。

別所山 無量壽院 安養寺境内はとてもきれいに掃除されていました。

別所山 無量壽院 安養寺本堂です。

別所山 無量壽院 安養寺護摩堂です。　　　　　　　　西国三十三観音です。

広い境内の様子です。

山門と鐘楼です。　　　　　　　　　　　　　　　　宝篋印塔です。

御本尊　阿弥陀三尊佛(室町）　　　　　　　　　　　現住職（野條泰圓）さん手作りの観音宮殿

不動明王立像（室町）　　　　　　　　　　　　　　弘法大師像

本の発起人・執筆者の一人として住職が手がけられた『空海散歩』全10巻です。
住職は本山布教師として要請があれば全国へ出かけれらるそうです。

曼荼羅です。

別所山記（嘉永5年の記他）
　土生村安養寺ハ吉備ノ長流水上二在リ　高野ノ神社ヲ去ルコト三里　同流乾のノ方　当ニ住古ナルベシ
　嵯峨帝ノ御宇天長九壬子年八月不動尊ノ因詫空海開基ノ霊場ナリ　嵯峨山ト寺号シ弥陀観音勢至三尊をヲ安置シ給フ
　美作守護梶原景時之ヲ信仰シ　建久八丁己年一宇ヲ再造ス　春秋移リ建武元甲戊年殿ノ法印良忠一宇ヲ再造ス
　村上天皇ノ裔　播磨三木城主別所孫五郎則治入道観了　志願ニ依テ一宇ヲ造建而元ノ如ク弥陀三尊ヲ崇メ別所家代々祈願所トス　之ニ因テ別所寺ト号ス
　永禄元戊午年ヨリ同六年迄　毛利元就作州数城ヲ抜フ　久田邑砦城主尼子備前守継子小次郎光久自盡ス　堂舎仏閣毛利官兵入乱　兵火ノ為一宇残ラズ焼失ス
　干時弥陀三尊光明ヲ放テ西方ヘ飛行シ給フト伝々
　処ニ東播三木城主別所ノ一族　別所孫右エ門尉重宗入道真了房ト云　深ク愁歎シテ城主別所小三郎長治祈願ノ為　永禄六甲子春　川西嵯峨山ノ麓二一寺建立ス　霊現弥尊シ之ニ依テ別所寺ト号ス
　天正八庚辰年正月十六日、三木城落城長治初メ一族滅亡ス
　天正九辛己年秋七月　宇喜多和泉守直家君ヨリ当寺阿閣梨ニ下知アリ　別所山安養寺　両所院ト号ス
　慶長初年、快鏡僧都草庵ヲ再興ス　封界東西百八十間南北七十五間ト伝ウ
　元和四戊午年西村（土生）旦那ノ助力ヲ以テ本堂一宇成就ス
　弘化三年、日笠快道因幡ヨリ来リテ新住ス　本堂　庫裏の再建　宝篋印塔ノ建立　西国三十三観音ノ勧請、野津羅井堰築堤　水路を開拓し　寺領田ヲ潤シ別所山ヲ中興ス
　平成五年十月、当地の施主の厚意により地を得て　安養寺を再興
　平成十年五月十日、落慶大法要を厳修す。
（文：別所山 無量壽院 安養寺案内板より）