永礼孝二・日下賢二の木版画

nagare-kusaka16.jpg

上記写真は永礼孝二 雪景(海)(制作年不詳)

 津山郷土博物館3階(展示室の一部)で、永礼孝二・日下賢二の木版画展(2022年1月15日(土)~2022年2月13日(日)まで)が開催されています。
 永礼孝二さんの作品がとても好きな私は早速ワクワクしながら訪ねてみました。そんなに多くの作品展示数ではありませんが、拝見すると、心穏やかな気持ちになれる期待通りの作品ばかりでした。多くの方に是非本物を見ていただきたいと思います。


 津山出身の版画家永礼孝二と日下賢二について紹介します。
永礼孝二(ながれこうじ)(1901~1975年)、日下賢二(くさかけんじ)(1936~2020年)は、共に津山市志戸部の出身で、日下は永礼などにより開催された「絵画夏期講習会」で版画の道に入り、その後は抽象画の独特な世界へと進みます。
 永礼は「日本版画院展」などに、日下は「東京国際版画ビエンナーレ展」「現代日本版画展(ベルギー)」などに出品。二人の版画や版木、原画などを展示しますので、ご覧ください。(文:津山郷土博物館案内より)

nagare-kusaka15.jpgnagare-kusaka11.jpg

たけのこ (昭和28年)              永礼孝二氏

nagare-kusaka7.jpgnagare-kusaka10.jpg

名古屋城 (昭和13年)              小諸城跡 (昭和46年)

nagare-kusaka5.jpgnagare-kusaka6.jpg

佐良山風景 (昭和31年)

nagare-kusaka9.jpgnagare-kusaka1.jpg

小諸城跡(版木) (昭和46年)

永礼孝二 年譜
明治34(1901)年:岡山県苫田郡東苫田村(現津山市志戸部)で生まれる。
大正8(1919)年:上京し、岡田三郎助の本郷洋画研究所に学び、当初は洋画を志すが、版画の製作を始める。
彫刻家石井鶴三の指導を受ける。
昭和5(1930)年:「第2回国際美術展版画部(日仏協会主催)」で「津山風景」入選。
昭和6(1931)年:日本版画協会創設、第1回展開催。
昭和7~19(1932~44)年:「第2~13回日本版画協会展」に出品。
昭和20(1945)年:津山に疎開、版画家棟方志功と出会う。
昭和21(1946)年:代表作「旧鶴山城」を製作、「第14回日本版画協会展」に出品。
昭和22(1947)年:「第15回日本版画協会展」に出品、日本版画協会会員となる。
昭和23(1948)年:「第16回日本版画協会展」、「第22回国画会展」に出品。
昭和24(1949)年:「第17回日本版画協会展」、「第23回国画会展」、「市制20周年記念美術展覧会」に出品。
昭和25(1950)年:「第18回日本版画協会展」、「第24回国画会展」に出品。日原晃、石田正典とともに小・中学生、高校生を対象にした「絵画夏季講習会」を開催、これに日下賢二が参加する。
昭和27(1952)年:「第20回日本版画協会展」、「第26回国画会展」、棟方志功らが設立した「第1回日本板画院展」に出品。
昭和29(1954)年:「第22回日本版画協会展」、「第3・4回日本板画院展」に出品。
昭和30(1955)年:「第1回イタリアトリエンナーレ国際展」、「第23回日本版画協会展」、「第5回日本板画院展」に出品。
昭和31~35(1956~60)年:「第24~28回日本版画協会展」、「第6~12回日本板画院展」に出品。
昭和36~37(1961~62)年:「第1~2回日本版画会展」、「第13~14回日本板画院展」に出品。
昭和38~49(1963~74)年:「第15~24回日本板画院展」に出品。
昭和50(1975)年:津山市内にて永眠、74歳、「第25回日本板画院展」に遺作が出品される。
昭和51(1976)年:「永礼孝二遺作展(津山市・大手町デパート)」で開催。
平成17(2005)年:「没後三十年記念永礼孝二展」を勝央美術文学館、津山郷土博物館で開催。


日下賢二氏について

nagare-kusaka3.jpgnagare-kusaka12.jpg

津山風景 (昭和31年頃)             日下賢二氏

nagare-kusaka14.jpgnagare-kusaka8.jpg

ヤブカンソウ (昭和25年)           ランプ(原画・昭和26年)/ランプ (昭和26年)

nagare-kusaka2.jpgnagare-kusaka13.jpg

飛翔85-3(昭和60年)              作品23 (昭和40年)

日下賢二 年譜
昭和11(1936)年:岡山県苫田郡東苫田村(現津山市志戸部)で生まれる。
昭和28(1953)年:「第21回日本版画協会展」入選、「第2回日本板画院展」板画院賞受賞。
昭和33(1958)年:上京。
昭和39(1964)年:「毎日現代美術展」鎌倉近代美術館賞受賞。
昭和41(1966)年:「東京国際版画ビエンナーレ展」国立近代美術館賞受賞、「毎日現代美術展」、「戦後29年の版画展」に出品。
昭和42(1967)年:「サンパウロ国際ビエンナーレ展(ブラジル)」、「現代美術の動向展(京都国立美術館)」などに出品。
昭和43(1968)年:「東京国際版画ビエンナーレ展」などに出品。
昭和44(1969)年:「バンクーバー国際版画展(カナダ)」、「ザイロン国際版画展(スイス)」、「現代版画の18人展(京都市美術館)」などに出品。
昭和46(1971)年:津山信用金庫大壁画を制作、「ブラッセ現代日本版画展(ベルギー)」、「今日の100人展(兵庫県立近代美術館)」に出品。
昭和47(1972)年:「現代木版画国際トリエンナーレ展(イタリア)」に出品。
昭和49(1974)年:「日本現代版画展(メキシコ)」に出品。
昭和50(1975)年:ザイロン国際版画展に出品。
昭和51(1976)年:「現代日本版画展(ベルギー)」に出品。
昭和56(1981)年:「世界の現代版画25年展(上野都美術館)」などに出品。
昭和58(1983)年:「国際版画ビエンナーレ展(イタリア)」、「ザイロン国際版画ビエンナーレ展」などに出品。「日下賢二 木版画作品集(青年社発行)」を刊行。
平成元(1989)年:「リュブリアーナ国際版画ビエンナーレ展」に出品。
平成8(1996)年:「ロスペニア現代版画展」などに出品。
平成10(1998)年:「版画の技と美の世界展(相模原市民ギャラリー)」に出品。
平成16(2004)年:「所蔵作品展近代日本の美術展(東京国立近代美術館)」に出品。
令和2(2020)年:永眠、版画などを津山郷土博物館に寄贈。