ミニ企画展 「世界の布Ⅲ-インドネシアのバティック(ろうけつ染め)-」

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ミニ企画展 「世界の布Ⅲ-インドネシアのバティック(ろうけつ染め)-」
会期:8月6日(土)~9月11日(日)
 ミニ企画展「世界の布」シリーズの3回目となる今回は、ユネスコ世界無形文化遺産にも認定されているインドネシアのバティックをご紹介します。バティックとはインドネシア語で溶かした蝋を布に置いて防染し模様を染める、ろうけつ染めのことです。日本でバティックは「ジャワ更紗」として人気があり、そちらのほうが馴染みがあるかもしれません。とても複雑な工程を経てつくられるバティックの精緻な文様から、インドネシアが育んだ貴重な文化を体感してください。
 今回のミニ企画展は、津山市文化財保護委員長などを歴任され、津山市文化功労賞表彰者の三好基之先生が長年にわたり集められた世界の布の一部を展示しています。

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スマトラバティック(サイズ 105×260cm)
 スマトラ島で製作されたバティックと思われる。両端のトゥンバル(布端の鋸状の模様)の色が左右違っており、このような更紗もパギ・ソレ形式といえる。※模様構成〇パギ・ソレ(Pagi-Sore)布の中央で斜めもしくは垂直に色や模様が分かれている構成のもの。巻き方によって1枚の布で2枚の腰巻を取り替えて着ているようにみせることができる。パギは朝、ソレは夜という意味がある。

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バティック(黄白青赤斜めストライプ花鳥 サイズ106.5×267cm)
 細かい地模様のとても緻密なデザインで、花の中には2羽の鳥が隠れている。ジャワ更紗の主要産地であるプカロンガンでつくられたもの。パギ・ソレ形式になっている。※用途〇カイン・パンジャン(Kain Panjang)腰巻き布。カインは布、パンジャンは長いという意味がある。

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バティック(手紡ぎ手織り木綿藍染 サイズ88.5×272cm)
 手紡ぎ手織りの木綿布に蝋を置いて藍で染める。ジャワ島東部ケレック地方の更紗。

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バティック(インドネシアジャワ島手書き藍白花鳥 サイズ105×194cm)
 青と白の色彩構成で、鳥、植物、蝶が描かれており、左下に作者のサインが入っている。

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バティック(文明開化文様 サイズ106×178cm)
 デザインに飛行機や鉄道が用いられている。19世紀の終わり頃から急速に近代化が進み、その影響を受けた文様だと思われる。

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写真左:製作工程  書籍『竹内葉コレクション ジャワの花更紗』より
写真右:製作の様子 書籍『岡田コレクション インドネシアの更紗展』より
写真下:着用の様子 書籍『ジャワ更紗―その多様な伝統の世界―』より

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(文:津山郷土博物館)(2022年9月2日撮影)