
津山郷土資料館ミニ企画「お正月」

2024年の福力荒神大祭

2023 さら山時代祭

2023 新野まつり(岡山県重要無形民俗文化財)

2025年1月」4日(土)~2月2日(日)津山郷土博物館ミニ企画展「お正月」が開催中です。
津山藩士が描いたおめでたい雰囲気の画や、津山藩の正月行事に関する古文書など、お正月らしい資料が展示されています。 中でも、見たことのない珍しい指樽は、変わり形酒器の一種で、おめでたい席で用いられ、扁平な箱を立てたようになっており、その上にそそぎ口が突き出しています。是非、一度見てください!そそぐ姿が想像できない不思議な指樽です。(2025年1月7日撮影)
飯塚竹斎(1796~1861)は、津山藩士の家に生まれ、藩士としての勤めの傍ら画を描きました。狩野如林(1802~1871)は、松甫などとも号し、飯塚竹齋と同時期に活躍した絵師です。
松や竹、亀、日の出など縁起がよいとされてきた画題を描いた資料を集め、展示しています。
・(写真右)夫婦岩 狩野如林(かのうじょりん)
三重県伊勢市の名勝二見浦に昇る日の出を描いています。右端には、松も見えます。
亀図扇面 飯塚竹斎 水気の多い墨面で、スッポンのぬれた甲羅を描いています。
指樽
指樽は変わり形酒器の一種で、扁平な箱を立てたようになっており、その上にそそぎ口が突き出しています。おめでたい席で用いられました。
・国元日記 岡山県指定重要文化財 天保4年(1833)正月1日条
「国元日記」には年頭に行われる「お目見え」の様子が詳しく書かれています。「お目見え」は藩主が家臣と対面する儀礼で、「独礼(どくれい)」「群居(ぐんきょ)」「通りかかり」の3種類がありました。開いているページには独礼と群居の様子が記されています。
御城御座敷向惣絵図 文化5年(1808)8月作成
藩主は「辰中刻(たつなかのこく)(朝8時頃)」からお目見えを始め「御座之間」・「鳳凰之間」で家臣一人一人と独礼のお目見えを行います。その後、「紫陽花之間」へと移動して、大勢の家臣と一度に対面する群居のお目見えを行います。その後も、「七間廊下」や「松之間」・「芥子(けし)之間」その廊下や縁側まで使用し、場所を移しながら次々にお目見えを行いました。
本図作成後、本丸御殿は一度焼失しており、その後も改築が行われましたが、お目見えをした場所の位置関係は変わっていません。
諸御礼式之図 岡山県指定重要文化財 嘉永2年(1849)4月作成
展示しているのは元旦の「御座之間」でのお目見えの様子です。上座である右手の座布団が描かれている場所に藩主斉民が、その傍らに養子で時期藩主となる慶倫が着座しました。左手の「家(家老)」「年(年寄)」の場所には家臣が着座し、盃を交わす儀礼などを行いました。「△長」は「長柄御銚子(ながえおちょうし)」を指しており、柄のついたお銚子を持つ藩士が控えて、中心の盃にお酒を注いでいました。
赤線は畳を表現しており、お目見えをする畳の場所は、家臣の格式によって明確に区分されていました。
・(写真左)年中行事 岡山県指定重要文化財 嘉永元年(1848)7月
藩の年中行事のなかで準備する物や食すものを書留めた資料です。元旦には「兎御吸物(うさぎおすいもの)」があり、これは図中の「吸」(矢印部分)を指していると思われます。藩主は元旦に兎のお吸い物を食す習慣があったことが分かります。
(文:津山郷土博物館展示案内より)