石造無縫塔(加茂町塔中)県指定重要文化財

monjyu-tou1.jpg

石造無縫塔(津山市加茂町塔中) 県指定重要文化財
 無縫塔とは、鎌倉時代に禅宗とともに中国大陸から伝えられた石塔で、基礎の上に卵形の塔身が置かれており、卵のように縫い目のない作りから無縫塔または卵塔とも呼ばれています。基礎と塔身の間に柱状の笠と中台をもつ複雑な形状のものを重制、それがないものを単制といいます。禅宗寺院の僧の墓にしばしば用いられています。
  この無縫塔は、津山市加茂町塔中にある文殊堂の裏手にあり、隣の宝篋印塔とともに県の重要文化財に指定されています。かつてこの場所には、天龍寺(京都市)を本山とする末寺があったとされています。総高123㎝で、八角形の基礎、笠、中台の上に塔身を置く重制の無縫塔です。銘文はありませんが、その様式から室町時代初期に建てられたものと考えられます。宝暦12(1762)年に天龍寺がこの地を調査して、無縫塔を夢窓国師のもの、宝篋印塔を開山宝山和尚のものと認定したということが脇に建てられた石碑に刻まれています。

monjyu-tou7.jpgmonjyu-tou2.jpg

岡山県指定重要美術品 松渓庵無縫塔 宝篋印塔

monjyu-tou6.jpgmonjyu-tou3.jpg

豆知識
本山・末寺...宗派の中心寺院を本山、その統制下の一般寺院を末寺とよび、江戸時代に幕府が寺院の統制に利用しました。
夢窓国師...夢窓疎石のこと。後醍醐天皇や足利尊氏が帰依(信じ、その力にすがること)した、臨済宗の僧侶。
開山...寺院を開いた僧侶のこと
(文:岡山県教育委員会発行『おかやまの石造物』より転載)(2020年1月30日撮影)