令和3年度 夏季企画展 あれも薬 これも薬

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 人は昔から、動植物や鉱物などを薬として使ってきました。
江戸時代の薬は、そうした自然由来の生薬であり、刻んで乾燥させるなどの簡単な加工を施して、薬効が高くなるように調合されました。当時は、いわゆる「鎖国」によって、中国人とオランダ人のみが、長崎で交易を許された時代でしたが、医師たちは治療に役立つものを見つけ出そうと、両国から輸入される薬を研究したのでした。
 本展では、江戸時代から明治時代にかけて、人々が薬に対してどのような関心を持ち、どのように研究したのかをご紹介します。「あれも薬になったのか、これも薬になったのか」と、楽しみながらご覧いただければ幸いです。(文:津山洋学資料館)(2021年7月11日撮影)

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津山洋学資料館

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主な展示物:江戸時代の薬学書『遠西医方名物考』や岸田吟香が販売した目薬「精錡水」の看板など約40点

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江戸時代の日本では、中国から伝わり、日本でも独自に研究・発展してきた「漢方医学」が広く用いられていました。医師たちは『傷寒論』などの中国から伝来した医学書を学び、治療や処方を行いました。この漢方医学の知識に基づいて処方されたのが漢方薬です。

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漢方薬は、動物や植物、鉱物など、自然の素材から作られた生薬を組み合わせ、患者の体の状態にあわせて処方します。たとえば現在もよく耳にする「葛根湯」は処方名で、葛根のほか麻黄や桂枝などの生薬が調合されています。

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生薬をすりつぶす道具 薬研(やげん)      鼈甲(スッポンの背甲)

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重箱式の薬箱(山田家伝来・明治時代)
挟み箱(担ぎ棒を通して背負う箱)に入れられており、往診時に用いた携帯用の薬箱と考えられます。挟み箱には、山田家の家紋である八つ矢車があしらわれています。薬匙や調剤時に薬包紙を押える圧尺が付属しています。

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持ち運べる小型の薬箪笥(山田家伝来)      人魚も薬?

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ジャコウジカ、ジャコウネコ、カモミール、ナツメグ、オリーブ、ザリガニ、サソリ、ラベンダーも薬?

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ウマも薬?                   ラクダも薬?

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ゾウも薬?(象洞)               砂糖の製法を紹介『物類品隲』巻6

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イッカクも薬?『一角纂考』           ミイラも薬?『紅毛雑話』巻2

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配合生薬                    西洋薬の製法や効能を紹介『和蘭薬鏡』

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西洋・中国・日本の医学の祖           楽善堂各種妙薬引札(薬の広告ちらし)

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タバコを浣腸剤として紹介            石鹸を飲み薬として紹介

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イギリス製の石鹸を舐めた榕菴『遠西医方名物考』巻36

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夏季企画展 あれも薬 これも薬 展示風景