森の芸術祭「衆楽園」

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 国の名勝に指定されている衆楽園は、津山藩2代藩主・森長継が京都から作庭師を招いて造営された池泉廻遊式庭園です。京都御苑内にある仙洞御所(せんとうごしょ)と酷似しており、島の配置や水面に映る島影の美しさ、四季折々の樹木の枝ぶりにも、洗練された美を感じることができるところです。
 その衆楽園で、只今開催されている「森の芸術祭」の作品を拝見してきました。


 アートディレクターの長谷川祐子さんは、「地元の方々も気がついていない隠れた資源を、アーティストや建築家の力を使って少しずつ可視化していきます。この衆楽園の迎賓館は障子によって仕切られていることで、広間から衆楽園の庭が見えない構造になっていました。そこで今回地元の建具屋さんにお願いして、その障子をガラス窓に取り替えていただき、広間と庭を一体につなぐことができました。たったそれだけのことですが、『庭を見る』という体験を加えることで、衆楽園迎賓館の価値をぐっと上げられたのです。私はそういったことが非常に大切だと考えています。この芸術祭でいろいろな場所を巡る中で、来場者の皆さまにも新な発見をしていただけると思います。」(のれんはコラボレーターの加納容子によるものです。)(文:森の芸術祭岡山公式HPより転載)(2024年10月10日撮影)

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衆楽園正面玄関                 入口を入った所

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迎賓館へと続く道

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衆楽園は、江戸時代初期に津山藩主・森家によって築造された回遊式の庭園です。 元禄11年(1698)に松平家が藩主となって以後幕末までは、家臣や他藩・他家からの使者を謁見するための「御対面所」、 または藩主の隠居所の庭園として使われ、明治3年(1870)に「衆楽園」として命名されました。 また、平成14年に国の名勝に指定されており、大名庭園としての国の指定は、岡山市の後楽園に次いで岡山県下で2例目です。 四季折々の美しさを見せる衆楽園は一般開放(入園無料)され、市民や観光客に親しまれています。

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リクリット・ティラヴァニ 1961年、ブエノスアイレス(アルゼンチン)生まれのタイ人アーティスト。
 旧来の展覧会形式を否定し、料理や食事、読書といった日常的な行為の共有を通した社会的交流を提示する活動で知られている。

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その作品は、芸術品の優位性を拒絶する環境を創出し、モノの利用価値や、単純な行為と共同体内の相互扶助を通じて人々を互いに結びつけることに焦点を当てるとともに、労働や技巧にまつわる既成概念の打破を試みる。

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のれんはコラボレーターの加納容子さんによるもの

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余芳閣の中から庭園を眺める

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余芳閣の二階から庭園を望む

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森夕香《リゾーム》2024             加藤萌《微睡みを》2022

森夕香:1991年、大阪府生まれ、滋賀県育ち。
 2015年パリ国立高等美術学校派遣交換留学、2016年京都市立芸術大学大学院修士課程日本画専攻修了。現在は京都を拠点とする。自らの体験や感覚をもとに身体と環境が互いを内包し合い流動的に変化し続けるさまを描いている。2019年より植物の写生を始め、植物の身体性からインスピレーションを得た絵画作品も制作している。

加藤萌:1988年、埼玉県川口市出身。
 2014年、東京藝術大学美術研究科漆芸専攻修了。在学中は螺鈿、乾漆を中心に学ぶ。2014年9月より、岡山県新見市に移住し、作品を制作する。

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甲田千晴《枯鳥》2011
岡山県出身。岡山県立大学工芸工業デザイン科と多治見市陶磁器意匠研究所で陶芸技術を習得。釉薬の研究を通じて、素材が空間に与える影響に興味を持つ。

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太田三郎《庭の情景》2024 1950年、山形県生まれ。岡山県津山市在住。
 71年国立鶴岡工業高等専門学校機械工学科卒業。80年より発表をはじめる。採集した種子を和紙に封入して、切手に仕立てた作品《SEED PROJECT》や、戦争後の様々な問題を取り上げた〈POST WAR〉シリーズなど郵便切手を用いた作品を作り続ける。

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清涼軒での太田三郎さんの展示の様子

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清涼軒での展示の様子              太田三郎さんの展示の様子

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清涼軒から霧島を望む              清涼軒から迎賓館を望む

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鶴亀算

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衆楽園の景観の一部として親しまれている建物「風月軒」

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建物の中から眺める景色に時を忘れるのもまた一興

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風月軒の萩の花が咲いている風流な景色

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衆楽園には4つの中島があり、4島が直線状に並んでいる

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紅葉島から迎賓館を望む             紅葉島から風月軒を望む

(各作家のプロフィールは、森の芸術祭岡山公式HPより転載させていただきました。)