津山洋学資料館 前期企画展「資料が秘めた物語Ⅵ」
描かれた馬
洋の東西を問わず馬は軍事や農耕などで活躍する重要な家畜でした。そのため日本にも西洋から馬に関する書物や馬が描かれた絵画などがもたらされています。また、日本でも同様に馬に関する資料が多く残されています。
今年は60年に一度の丙午(ひのえうま)にあたります。ここでは所蔵している資料の中から「馬」について描かれている資料をご紹介します。(全説明文:津山洋学資料館展示案内より転載)(2026年3月17日撮影)
★上記写真:宇田川榕菴が集めた馬の絵
【馬の図】(宇田川榕菴蔵張込帳)江戸時代後期
この帳面は宇田川榕菴が描いたり集めたりしたものを貼り付けて秘蔵していたもの。大砲の図や、動植物の絵など98種類の資料が貼り付けられており、この「馬の図」はその中の一枚です。 絵の下には「外傷のための包帯法」という内容が英語で記されています。
オランダの馬具 ケイゼルの和蘭馬具図 享保年間(1716~36)
★写真左:馬の針治療
【板倉流馬針灸医書】 江戸時代
馬に対する針治療について解説した医書。 馬は軍事や運輸、 農耕などにも活躍した重要な家畜で大切にされていました。 この書物は板倉流の針治療書で、馬のツボの位置が図示されています。
★写真右:馬の曲乗り
【馬上図】江戸時代
内容から朝鮮通信使に随行してきた馬上才(ばじょうさい)による馬芸が描かれているものと思われます。 走る馬で逆立ちをしたり、横向きに乗ったりと様々な馬芸の様子が描かれています。
★写真左:馬に乗るアメリカ人
【横浜絵 亜墨利伽人之図】歌川芳虎 画 万延元年(1860)頃
アメリカ人の男性が乗馬している様子を描いた横浜絵です。 北アメリカが日本の東に存在することや、 都がワシントンであることなどを説明した文が添えられています。
★写真右:馬を引くイギリス人
【横浜絵 イギリス人遊行ノ図】歌川芳豊 画 万延元年(1860)
西洋式銃を携えたイギリス人の男性が、手綱を引いて馬と一緒に歩いている様子を描いた横浜絵です。武者絵や横浜絵の世界で活躍した歌川芳豊は36歳の若さで逝去した絵師で、展示品は31歳のときの作品です。
★写真左:オランダ人の食事風景
【長崎絵 HOLLANDER(オランダ人)】画者不詳 18世紀後期~19世紀中期
オランダ人の会食の様子を表した版画です。テーブルの上には、肉料理などが並んでいます。ナイフやフォーク、スプーンを使って、洋食を楽しんでいることがわかります。
★写真右:大槻玄沢も食べたオランダ料理
【紅毛雑話】森島中良 著 天明7年(1787)
森島中良が、オランダに関する面白い話題を集めて刊行したのが本書で、最初の巻には、大槻玄沢が長崎へ遊学した際に食べたとされるオランダ料理の献立が記されています。
★当時最新の世界地図
【新製輿地全図】箕作省吾 訳 天保15年(1844)
阮甫の養子省吾により出版された世界地図。 省吾が原図として利用したフランス製の地図は最新のもので、オーストラリア東南部の海岸線には1801年頃フランス製の学術調査隊が命名した「ナポレオンラント」や「ボナパルト湾」などの地名が見えます。
★箕作家とナポレオン
日本で最初の学術的なフランス革命史として高く評価を得ている『フランス大革命史』や『ナポレオン時代史』など西洋史研究でナポレオンに触れている箕作元八ですが、阮甫や省吾など箕作家の外国研究の中にもナポレオンが度々出てきます。
ここでは箕作家の著作物の中からナポ レオンに関わるものをご紹介します。
★写真右:フランス革命についての研究書
【フランス大革命史】箕作元八 著 大正8(1919)~大正9年
元八は少年時代からフランス革命に関心を持っており、留学中に研究テーマとして定めて、大学でも講義を行いました。晩年に出版された本書は、日本で最初の学術的なフランス革命史として高く評価されています。
津山洋学資料館展示風景 前庭のあんずの花