因幡街道に残る「いぼ神」(日本原)

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まちの文化財 信仰絶えない"いぼ神" 勝北町 因幡街道に昔の祠残る
 勝北町日本原の家並みがある西はずれ、通称「日本坂」と呼ばれているところに国道五十三号線と旧国道にはさまれ、谷のようになった中をその昔、津山と鳥取を結んだ因幡街道が通っていた。
 そのころは、この街道を行き来した旅人が多かったであろうが、今は国道改良工事により、通行はできなくなっている。街道の面影は失われ、わずかに踏み跡だけが残っている道にかたわらに「水神様」「すりばち様」または「いぼ神様」と呼称される祠(ほこら)がある。
 石造りの祠の中に、小さなお杜が祀られ、杜前には岩の間からかすかに流れる泉をたたえた、直径約十七㌢ほどの"すりばち状"の水たまりがあり、そのそばには柄杓が置かれている。
 昭和の初め、私どもが子供のころです。イボができたとき、村人はこの泉の水をイボに塗り、早く治ることをお祈りしました。その後いつの間にかイボがなくなったと聞き、幼心に不思議に思ったものでした。

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↑ 嘗てのいぼ神様

 付近の人の話では、医学が進歩した現代でも、従来からの"いぼ信仰"のほか胃、腸などに発生したポリープにも、この泉は霊験あらたかといわれ、おかげを受けた人から次々に伝わり、はるばる遠くからのお詣りもあるという。
 人びとの切ない願いを託した霊水信仰の姿は、今もこのように絶えることなく続いている。
(町文化財保護委員会委員長・寺坂卓郎記)(『平成5年発行:勝北風の里探訪』より)

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2018年10月6日現在、このいぼ神様は植月勝司さんのお宅で祀られています。
 植月さんのお話では、この土地は嘗ては低い谷だったそうです。それが、国道の改良工事で道が高く作られ、家が谷の底になってしまったので埋め立て高くしたそうです。いぼ神様は植月勝司さんがご家族でお祀りされているそうです。

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今は埋め立てられ高くなった土地です。

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旧街道沿いにある、この大日如来様も植月勝司さんのご家族でお祀りされているそうです。
(2018年10月6日撮影)