千手観音菩薩(大吉 五穀寺)
変化観音の一つで千手千眼観自在菩薩といい、千の慈眼・千の慈悲を持って衆生を済度するという。普通は胸前の合掌する両手を除き、左右ニ十手ずつの四十手像で、掌中に各一眼をもつ。
一手はよく二十五有界の衆生を救うとされることから、四十手で合計千手となる。また十六手のものもあり、それらの手にはいずれも仏具類を持ち、頭上には一面・九面・十一面または二十七面のものもある。
千手観音は十一面観音とともに奈良時代より庶民の信仰を集めている。石仏としては私達の身近に見られるこの仏は、手の数も頭上面も儀軌(この場合は仏像彫刻上の約束事)によらないものが多い。
なお五穀寺にある石仏については十一面千手観音菩薩と思われるが、見る人によっては十一面観音菩薩と思われるかもしれない。
千手観音菩薩(大吉 五穀寺)
種別 十一面千手観音菩薩
寸法 高さ100cm
造立年代 文政十三年(1830年)
在銘 文政十三年庚寅三月吉日
千手観音菩薩
五穀寺の紅梅
県内にある紅梅のうち二番目に挙げられる老樹。推定年齢300年、根元周囲2.55m。寺の伝えによれば、享保年間(1720年ごろ)五穀寺は炎上したが、その大火を凌いだ記念の木といわれる。早春のころ静かなたたずまいの境内に、枝いっぱいに開花した本樹は、訪れる人の目を見はらせる。勝北町教育委員会(看板より)
(文:勝北公民館発行『勝北むらの石仏』より)(2019年2月2日撮影)