道祖神(原・新野山形)

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 道祖神はいろいろな信仰を含んでいる。旅の神・道の神など考える人も多い。また村の入り口や峠などに祀られている所もあり、境を守る神、悪魔を追い払う神などともいえる。
 道祖神は普通サエノカミ・サイノカミなどと呼ばれている。その信仰はほとんど全国にわたっている。道祖神の像塔が見られるようになるのは概ね寛文以後のことのようであり、それ以前はおそらく自然石を神体としていたと思われる。
 山形の道祖神は磧石または花崗岩を丸くした自然石に「道祖神」と浅刻されており、色・形状は男性の象徴を思わせ、道祖本来の原形を偲ばせて微笑ましい。

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原の道祖神(原)
寸法 高さ50cm
造立年代 不詳 (2019年2月12日撮影)

若宮の道祖神(新野山形)

若宮の道祖神(新野山形)
寸法 高さ50cm
造立年代 不詳

(文:勝北公民館発行『勝北むらの石仏』より)(2019年2月12日撮影)


災から村守る"道祖神"
先人の生活の一端偲ばす
 町の文化財と石造美術にとり上げられいる道祖神は町内では原 山形地区に一体づつ現存している。 
 かつては、道祖神は各家々に祀られていたものが、やがて村の共同の信仰として祀られるようになり、村境などにその石碑がのこっている。
 一般に、道祖神は<ミチノカミ>とか<サエの神>とか呼ばれており、サエは障る、遮るなどといって村境や峠、橋の袂によく祀られ災いを遮り村から悪疫を退散させる神として広く祭が行われていた。
 また各地で見受けられる地蔵さんも道祖神と非常によくにて、道祖神の本地佛は地蔵尊で、菩薩が衆生を救うために仮に神の姿で現れるという本地垂迹説による神と称されている。
 道祖の祭りは、人の一生を旅にたとえて妊娠、出産、幼児の守護、和合、性病の神とし男女の生殖をとおして生産の神、田の神や山の神的な性格をもつなど、その発展変化は複雑である。
 山形の道祖神は、磧石から丸い花崗岩を丸くした自然石に<道祖神>と浅く刻ったもので、色、形状は男性の象徴をおもわせる道祖本来の原形をたもちほほえましい。
 もとは直ぐ近くの若宮さまの跡の築地に在ったものを移したと伝えられている。
 原の道祖神は、高さ五十センチ位い四角い石柱を整形せずそのまま使用したもので、場所は工門から原へ至る村境の県道わきにたっている。
 もともと道祖信仰は古いものといわれながら造石の道祖を祀る風習は江戸時代に入ってからのものが多い。
 道祖の祭りも所により色々で二月とか三月に、または初冬の頃に祭りが行われていたが、これが上元の正月十五日を道祖の祭として新年の行事に結びついたのも、和合雙体の神さま本来の姿をのこしたものといえよう。
 道祖の祭りも村から絶えて久しい。現在の豊かな社会の中でややもすると見過ごされがちな往路の道祖神に先人達の生活の一端を偲ぶことができるのです。(文:平成14年 勝北「風の里」探訪シリーズより)