知新館の土蔵「家引き」で大改修

1-28chishinkan23.jpg

 平成10年10月に国の登録有形文化財となった「知新館」は、岡山県北の城下町津山市の南新座に伝わる武家屋敷で、第35代内閣総理大臣平沼騏一郎(1867~1952)の別邸として建てられたものです。
 土蔵は木造二階建桟瓦葺、塀は土塀桟瓦葺、また表門は腕木門桟瓦葺であり、中級武士住宅の典型的な形態をとった建物です。
 その中の土蔵の基礎が古くなり、土蔵自体が傾いてしまったので修復をすることになりました。修復の方法は家曳き移動です。建物を基礎から切り離し、その下にレールとなる鋼材を敷きこんで、その上をゆっくりと移動させ、その後、再度基礎の上に家を据える方法です。
(2022年1月28日・4月4日撮影)

1-28chishinkan7.jpg1-28chishinkan25.jpg

ジャッキアップを行い、建物を浮かします(隣の駐車場まで移動した知新館の蔵です。)

1-28chishinkan8.jpg1-28chishinkan9.jpg

家の土台と基礎を切り離してジャッキアップを行い、基礎の代わりとなる架台を設置。

1-28chishinkan10.jpg1-28chishinkan11.jpg

井桁に架台を組み上げ、建物全体のレベル調整を行います。

1-28chishinkan12.jpg1-28chishinkan13.jpg

その後、土台下にレールを送り込み、移動用のローラーを使用して建物を移動させます。

1-28chishinkan16.jpg1-28chishinkan17.jpg

土台をH鋼またはレールで根固めし、油圧ジャッキを集中管理して揚家しています。

1-28chishinkan18.jpg1-28chishinkan29.jpg

油圧ジャッキが沢山並んでいます。

1-28chishinkan30.jpg1-28chishinkan33.jpg

基礎を新設したり、補強をします。

1-28chishinkan41.jpg1-28chishinkan39.jpg

綺麗になった基礎です。

1-28chishinkan35.jpg1-28chishinkan36.jpg

ベテランの棟梁が何度も点検をしています。

1-28chishinkan38.jpg1-28chishinkan43.jpg

慎重に水平をだしていきます。

1-28chishinkan45.jpg1-28chishinkan46.jpg

油圧ジャッキを集中管理し、レールの上には、コロを敷きます。

2-1chishinkan11.jpg2-1chishinkan9.jpg

その後、土台下にレールを送り込み、移動用のローラーを使用して建物を移動させます。

2-1chishinkan8.jpg2-1chishinkan7.jpg

手でギアを動かしているのを見たのは初めてで、しかもスムーズに移動したのに感動しました。

2-1chishinkan13.jpg2-1chishinkan4.jpg

ほとんど元通りに移動した知新館です。

4-4chishin1.jpg2022-4-4chishinkan2.jpg

移動後にレールを引き抜き、土台を新しい場所の基礎に固定して完了です。

2022-4chishinkan.jpg2022-4-4chishinkan1.jpg

補修を終えた知新館蔵です。