【津山人】ライトノベル作家 甲田 学人氏
甲田 学人(こうだ がくと、1977年〈昭和52年〉 - )は日本のライトノベル作家。岡山県津山市出身。二松学舎大学卒業。本名・甲田学。英語圏での出版物は甲田をCodaと表記している。
第7回電撃ゲーム小説大賞(現・電撃小説大賞)で短編小説『夜魔 罪科釣人奇譚』が最終選考に残ったことでその執筆力が認められ、書き下ろし『Missing 神隠しの物語』で電撃文庫より2001年にデビュー。
人物「自分の作品はホラーではなくメルヘンである」「残酷描写はあるものの、グロテスクでは決してない」など、文庫[要文献特定詳細情報]のあとがきにて主張している(『断章のグリムII』にて初めて「スプーン1杯ほどの、グロテスク」を加えた、とあとがきに記している)。
かなりの酒好き・大酒飲み。特に日本酒にはこだわりを持っている。しかし、「酒豪」と言われると「そんなことはない」と言い返している。
かつてはイラストレーターを目指しており、自画像に用いられるイラストも自筆によるものである。(文:Wikipediaより)
作品の巻末にある著者近影は毎回自分で書いている。
名前は「チョシャ猫」。
↑ 津山市立図書館に甲田学人さんの本が置いてあります。
「冬に降る」 甲田学人
子供の頃、私は牡丹雪を、小さな「針」が集まったものだと思っていた。
孤立気味の子供だった私は、物をよく眺めていた。孤立していたからぼんやり物など眺める暇があったのか、ぼんやりした子供だから孤立したのかは、知らない。ともかく、皆が綿のようだと言う牡丹雪は、私の観察する限り、もっと結晶質の物に見えていた。
掴めばふわと潰れるのではなく、しゃりと砕ける。頬に触れればちくりと冷気が刺す。微細な氷の針が、磁石に集まる砂鉄よりも柔らかに組み合って、大粒の牡丹となって、空から舞い降りて来ている。
私は牡丹雪が好きだった。腕を広げて全身に牡丹雪を浴び、空に口を開けて牡丹雪を呑んだ。
私は孤立気味の子供だった。からかいを受け、悪し様に言われた。死にたかった。
腕を広げて全身に牡丹雪を浴び、空に口を開けて牡丹雪を呑んだ。
子供の頃、私は牡丹雪を、小さな「針」が集まったものだと思っていた。
(メディアワークス文庫HPより)