神楽尾山妖怪説伏(降伏)の事

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 津山市下田邑の字平尾に三子山泉水寺という祈祷の寺がある。
 往時、出雲の富田の城主尼子氏の祈願所であったという。(作陽誌より)
 現在は、毎年大晦日に各地から修験道の行者が、泉水寺に集まり、四方に矢を放ち、大護摩を焚き、火渡りの行事を行って、世界平和・国家安寧、家福増長、厄難消除、健康増進を祈願している。
 美作では数少ない修験道の伝統行事を厳修している寺院で知られている。

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 さて、神楽尾城と泉水寺の話ですが、次の様な話がお寺に伝わっている。
 天正6年(1578)11月、夜々神楽尾城に妖怪が現れた。身の丈3㍍余りで体格は、すごく優れてたくましく、両眼は鏡のようにきらきら光り、全身を金の鱗で覆われて鋭い針のようである。声は雷に似て空をつんざき飛び回る。皆恐れおののき逃げ惑う有り様であった。
 城主 大蔵甚兵衛尚清が言うには、神力の擁護を得なけらば鎮まらないであろうと。そこで国老の荒尾 其に神楽尾山の鎮守の祈願を泉水寺に頼み日参させた。此によって、同月15日泉水寺法印 法仏は城内に入り蟇目の秘法(悪魔退散)を修めた。すると妖怪の災いは忽ち消え去った。城主は大いに喜び、翌年 宝刀「波の平」を当山に奉納した。それが、現在も寺に祀られている。(「三子山泉水寺史」より 土居徹訳文)

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火渡りは古くから修験道に伝わる儀式だそうです。

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三子山泉水寺の境内               (上記写真:『美作の中世山城の神楽尾』より)