徳守神社社殿 県指定重要文化財(建造物)

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 当社の由緒については諸説あるが、徳守宰相を祀る「勅使宮」であるとする『森家先代実録』『作州記』等の説と、天照大神を祀る「勅旨宮」で天平以前の鎮座とする『美作風土畧』等の説との二つに大別できそうである。矢吹正則は『徳守神社誌』において「伊勢神廟ヲ勧請シ奉リシモ古キ御事ニテ一度皇太神ヲ合祭シ奉テハ之ヲ主神ト仰キ奉ルハ尊神ノ衷情二出シモノニテ敢テ祭神ヲ左右セシモノニハ非ルへシ」と合理的に解釈している。古代の総社宮での重陽祭では、幣を奉納する近郷八社の一つであったという。
 天文8年(1539)に焼失したが、慶長9年(1604)春、森忠政が築城に先立ち、津山の鎮守として徳守神社を再建、同年内に落成して遷宮され、新田村において70石の社領を寄附された。2代藩主森長継は寛永14年(1637)さらに10石を加増し、寛文4年(1664)に社殿を新築した。現在の本殿・釣殿・拝殿がこれに当たる。

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 社殿は東向きに建てられ、本殿から拝殿までが一直線に並ぶ。拝殿は正面唐破風造の向拝の他は極度に装飾性を押さえた外観である。これに対して中山造の本殿はかなり派手さが加わり、前年上棟の高野神社と比べてもその度合いが強く、後に鶴山八幡宮本殿で結晶する華やかな装飾性の要素が見受けられる。それを端的に物語るのが軒下の組物で、二手先となっており、尾垂木の先端には象鼻形の彫刻が施され、その他にも花柄や雲などの彫刻があり、当初は極彩色で塗り立てられていたようである。わずか1年でこのように変化したことは、単に奉行や大工の相違だけでは説明しきれない重要な問題を含んでいる。建物の規模は小さくなり、本殿は正面が四間、側面三間となる。後世の改変はそれ程見受けられないが、屋根が銅板葺になり、釣殿の拝殿側が拡張されている。棟札は慶長・寛文の建立棟札の他、その後の屋根葺き替えの際の6枚が現存する。
 慶長10年(1605)森氏の本国美濃から仙蔵坊が社僧として招かれ、当社の西に神宮寺として天台宗・医王山清閑寺が建てられて社領の内20石が与えられたが、文政期(1818~30)に廃絶した。また、森氏改易で社領は廃止されたが、松平氏は寄附米として毎年15俵ずつを与えている。(その後、領地半減に伴って7俵半とされた。)当社の秋の祭礼は城下最大のもので、幕末にはだんじりが繰り出すようになる。明治6年(1873)県社に列せられた。(『津山の文化財 津山市教育委員会1998年発行』より)

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徳守神社本殿                  2018年12月現在

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徳守神社の記念誌に載っている写真(年代が分かりません。)

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徳守神社の歴史の一部

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(徳守神社誌を分かりやすくしてくださった岩本様有難うございました。)

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徳守神社社殿(三棟)
岡山県指定重要文化財
 徳守神社は、戦国時代兵火を被り荒廃していたものを、慶長九年(1604)森忠政が津山城下の総鎮守として造営したものである。
 現在の本殿は、寛文四年(1664)に森長継が再建したもので、拝殿、幣殿も同時期のものである。本殿は、東面してたち正面三間、側面三間の中山造(入母屋造、妻入型式)で、現在では屋根を銅板で覆い正面に唐破風の向拝をつけている。とくに組物あるいは蟇股の彫刻など軒廻りにみごとな装飾がなされていること、また拝殿、幣殿が同時期の建物として残っていることなどが特色としてあげられる。
 市内の近世初期の神社建築として優れたものである。
 津山市教育委員会建之

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神門                              跳び狛犬

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拝殿の屋根                   本殿の鬼瓦

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軒の美しい透かし飾り

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龍や象の木鼻

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虹梁

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見事な宮彫り(宮彫)花の透かし彫り                立派な龍
(撮影:2017年4月23・24日、2018年12月18日)